2015/11/10

(No.2402): 石の便器


階下まで吹き抜けとなっているエントランスを持つビルのそのエントランスに私は立っている。周りは人が行き来している。ここは会社の中だ。見覚えはないが自分の勤めている会社のビルという認識を持つ。

エントランスを奥の方へ歩いて行くと、いつの間にかそこは駅の構内になっている。どこの駅か。「新橋ぃ、新橋ぃ」と聞こえるので新橋駅なのだろうか。雑踏の中私は便所を探している。大便をしたい。
店が両脇にずらっと並んでいる駅のモール街のようなところを歩く。ふと気付くと昭和の商店街風な道に変わっている。十条銀座とか大山商店街とかそんな雰囲気。もう建物の中ではない。活気がある。割烹着に買い物かご(編み込んだカゴ)を手にした昭和30年代のお母さん達がせわしなく行き来している。

思い出したようにiPhoneを見ればイングレスの画面に白ポータルが二つ見える。歩きながらレゾネータを挿す。8本全部挿さなくてもいいや、と思う。
先ほどみた”便所はあちら”という看板の通りに歩いてきた。上を見るとここが便所であることを示す看板が電信柱にぶる下がっている。しかし肝心の便所が見当たらない。
商店街の一角だが、ここだけ店舗がなく空き地になっている。その空き地には大きな土盛りがあり、その上に墓石のようなものが建っている。
その土盛りの傍らに携帯電話で大声で喋っているおばさんが一人。何かがなくなっていると言っている。墓石と思われたものは石でできた個室便所のようで入り口の取っ手のところに白いビニール袋がくしゃくしゃになってぶらさがっている。

私は「これではないのですか?」と白いビニール袋を指差しながらおばさんに聞いた。おばさんは携帯電話で大声で喋りながらそのビニール袋をひっぺがすと走り去った。
墓石の個室便所は、いつの間にやら便器のみとなっている。石でできた和式便器。周りに覆いはない。
しかたがないので、ズボンとパンツを脱いでそこにしゃがもうとベルトを解きかけたら、横から一人の男(推定年齢46歳)が現れ「先にさせてくれ」と言って素早くパンツを下ろしてしゃがんでしまった。
彼の尻を凝視していたが、見てはいけないのだろうと気付き横を向く。男が用を済ませ去った後、私はズボンを脱ぎパンツを下し石の便器に跨った。商店街を歩く人々を眺める。商店街を歩く人々は私の大便スタイルにはまったく無関心。

恥ずかしさは皆無だが、私の便意はすっかり消えていた。



起床 6:04

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