2018/03/29

(No.2566): ライブで弾いてる楽器の噺


Arturia microbruteは素晴らしい電子楽器だ。ここ数年のdeweyライブでの筆者のメイン楽器である。


一時、YAMAHA reface CSをライブで2回ほど使用したが、以降は自宅スタジオでのDAW用MIDI鍵盤として採用している。電池駆動+きらびやかさ&ポリフォニックに魅せられ、電気グルーヴが出演していたフジロックで卓球氏が弾いていたのを観てカッケーと思い、衝動買いしたのだった。
CSは出音は大変素晴らしいのだがなんちゅうかライブ映え的な機械感(ごちゃごちゃ感)が薄く、奇麗にまとまり過ぎている。音色保存にiPhoneのアプリが必要なのも最初は面白かったがライブ時では煩雑さが目立った。


最近のライブでは一度だけClavia NordLead2を使用した。(←リンクがなかったので今のnordサイト)
NordLead2はもう十数年も前に購入したもので当時活動していたstereogimmikというクラブ系テクノユニットのメイン楽器で使用していた。とはいえレコーディングでは今でも現役で使用している。
ちなみにNordLead2はdewey CD収録の「Complexitate」、「そのためのバンパー」、「nos gwyn」、「オルドビスの遺産」などで使用している。久々にライブに持ちだしたが、とても重い。重すぎる。こんなに重かったっけ。
最近になって音色の保存ができない不具合が出てしまったこともありライブにはもう持っていかないだろう。


さて、冒頭に戻る。microbruteは素晴らしい。それに間違いはない。
あの価格帯であの作りはすごいと思う。ノブの操作圧は特筆に値するし、当然出音も素晴らしい。オシレータ自体は確かに原始的な質感はあるものの、同時に複数の波形を混ぜられるし、LFOやENVを様々な変調のソースにパッチング可能なモジュレーションマトリクスを備えており複雑な音づくりもできる。
フィルターセクションにはBrute Factorなるノブもありフィードバックするような強烈なサウンドを生み出せる。しかも、すこぶる小さい。これ重要。比較的軽い。(実際はこの小ささにしてはずっしり感アリ)
いいことずくめではあるが、デメリットもある。
アナログ故、VCO故のピッチ安定するまで時間がかかることと無音時のひどいノイズ残留。

ライブハウスでのサウンドチェック時にPAさんから、「なんかジーって鳴ってますけど?」とよく指摘される。無音時のノイズがすごいのだ。アースがちゃんと落ちてないのかジーっというノイズがする。なのでmicrobruteは演奏しないときは手元のミキサーで出力をゼロにしている。

そしてなんといっても面白い、いや大変なのがオシレータのピッチ安定までの時間だ。特に冬の寒い日など安定するまでに20分はかかる。実測したので間違いない。35年前のRoland SH-101でさえそこまでかからない。

microbruteのチューニングにはコツがある。
先ず、完全に温まった状態で440Hzでチューニングを取る。(オシレータのチューニングノブは背面にある)
チューニングノブは押し込むことでロックできるのでその状態で動かないようにロックしておく。完全に温まるとピッチは安定するためこうしておけば、起動時の冷えてる時にピッチがあってなくてもそのまま放置して温まれば440Hzに合うようになる。

ライブ直前にmicrobruteの電源を入れなければならない場合は、その音程はかなりフラットになっている。そのままライブをすぐに始めなければならない現場ではその状態で取り敢えずチューニングしてしまうこともある。だから時間が経って温まってくるとどんどんシャープしてしまうのでライブ中にチューニングを行う。
よくギタリストがライブ中にチューニングしている光景があるが、あれと似ている。ただしお客様側から見ても何やってんだかわからないと思う。

繰り返すがmicrobruteは基本的には冷めている状態でチューニングノブを動かすのは禁物である。

まるで旧車だ。旧車の扱いに似ている。昔乗ってたキャブ仕様のオースチン・ミニがそうだった。天候の気圧の加減でエンジン始動にクセがあった。当然暖気運転は当たり前。
だからそういう非実用的一手間二手間が好きという嗜好もあるので必ずしもデメリットではないかもしれない。


というわけでmicrobruteは素晴らしい電子楽器ですという話でした。




でも moog sub phattyとかsub37とかも素晴らしいわよ
この次はモアベターよッ


2018/03/19

(No.2565): 「Parallel Architect」Sonikovev×dewey


「Parallel Architect」楽しんで頂けましたでしょうか。

昨年10月にSonikovev 伊藤さんから2マンのオファーを頂戴し、我ら二者飛び上がるほどの嬉しさに身悶えしながら秋葉原打ち合わせを経てスプリットCD制作+Sonikovev×deweyセッションを交えながら果たして3月17日高円寺AMP CAFEにて「Parallel Architect」でございました。
お越し頂きましたお客様本当にありがとうございました。

正当なるライブリポートはtaira上級研究員の報告をご覧いただくとして、わたくしはいつものような文体と書き捨てにて汚す所存にてご容赦ください。
というかほとんど写真だけですけど。
(撮影:モモさん
(このページで使用させて頂いた写真、全部モモさんからのご提供ですー。ありがとうございます!!)


Sonikovev 伊藤さん
スマートで面白くて格好良い、とにかくライブでの佇まいが粋。素敵。

1曲目、モジュラーとeチェロのインプロ楽曲。1曲目から引き込まれました。
そしてメリハリの良いテクノポップなトラックに重なるベース、運指がもう魅力的です。
スプリットCD収録「Krack」はHello1103 yukakoさんVJのテキストとのリンクで魅力さらに倍増。










dewey
機械弄りとか多めなので常にうつむき加減な人々deweyありがとうございます。









Sonikovev×deweyセッション
演目は「音楽の計画」、YMO/BGM収録曲ですが、今回はWinter Liveバージョン。(というのをMCで言い忘れました!)

細野さんベースを伊藤さんが演奏!エフオピは歌というか叫びというかボコーダーとシンセ、taira上級研究員は上物シンセアンドシンセソロを演奏。バックトラックは伊藤さん制作したドラム+シンセベースにdeweyが少し音を足しました。







終演後のわたくしたち。







Hello1103のお二人を中心にdeweyに挟まれた伊藤さん





中打ちではレンダのヒコさんハコさま、村上ユカさん、杉本さん、ななをさんを交えて楽しく打ち上げました。
MCで9月のイベントのお話をさらっとしましたが、詳細はもう少しお待ちくださいー




2018/03/09

(No.2564): 「リンゴループ」



備忘録を兼ねて記す。 顛末はこうだ。

iPhone SE (iOS 11.2.2だったと思う)にてメモアプリに3/17ライブのセットリスト曲順を打っていた。
nos gwynという曲名を打った直後、iPhoneがまったく反応しなくなった。ハングアップ状態。
ほえ?え?とタップしたりするが無反応。そしたら突然に真っ暗に。数秒後、起動画面に出てくるアップルマークの画面に遷移。ああ、再起動になったのかぁと暫く待っていると再び真っ暗画面になった。数秒後、またアップルマーク画面、30秒くらいしてまた真っ暗、数秒後アップルマーク画面、以下これを繰り返し延々とループ。
電源も落とせないじゃんか、と慌ててパソコンでググる。この現象は「リンゴループ」と呼ばれているらしいことを知る。
nos gwynって文字列、リンゴループのトリガーになるのか。などと想ったり。


取り敢えず電源落とさないと。
iPhone SE の強制終了、強制再起動コマンド→
ホームボタン(指紋認証ボタンのとこ)と電源ボタン[スリープ/スリープ解除ボタン](上部のボタン)を10秒以上同時に押す。
画面が暗くなったら離す。これで電源を落とせる。しかし離すタイミングが悪いと再起動コマンドになってまたアップルマーク画面になってしまう。
(機種が違うと強制終了のやり方が違うので注意)

電源断後、やったこと。
上述の強制再起動を何度か試す。→ ダメ
SIMを取り外して強制再起動 → ダメ
セーフモードで起動 → ダメ
セーフモードのやりかた:iPhoneを起動する際に「音量ボタン(+)」を押し続ける。
(所感:しかし↑これはリンゴループ中では微妙な操作かも。何もしなくてもどんどん起動しちゃうし)
出先だったためここで断念。

帰宅後、Mac+iTunesを使った復旧を試みる。
参考にしたサイト(ありがとうございます!)
http://tsuji-labo.com/iphone-apple-logo-loop/


リカバリモードでiPhoneを起動
リカバリモード:ホームボタンと電源ボタン[スリープ/スリープ解除ボタン]を同時長押し、リンゴマークが消えても同時長押し続ける。

リカバリモードで接続できるとiTunesがメッセージを表示。「アップデート」と「復元」が選択できるが、上記サイトの教え通り「アップデート」をクリックする。
「復元」だと工場出荷時に戻っちゃうから。

最新のiOS 11.2.6にアップデートします 的なメッセージが出て、ソフトウェア・アップデートの内容の確認画面応答後アップデートを開始。上記サイトでは15分たったらリカバリモードが切断されます云々とあったがダウンロードは3分程でおわり、次の工程へ進んだ。
iPhoneの画面がリンゴに戻ったがプログレスバーが出て待機状態になった。

おおー良かったー進んだじゃんーと安心したのもつかの間、iTunesのステータス欄に「ソフトウエアをAppleに確認中・・・」表示中、「不明なエラー エラーコード9」というメッセージを表示して異常終了。

ええええ?こんなの参考サイトに載ってない。気を取り直して、再度挑戦。同じ手順でサクサク進み、先ほどの場所iTunesのステータス欄に「ソフトウエアをAppleに確認中・・・」でまたもやエラーになった。
しかし今度は「不明なエラー エラーコード26」というメッセージ。

ググったらエラーコード9、26はデバイスとの接続が切れた?的なものらしかった。これは例の15分で時間切れのやつかと思って、再度リカバリモードを最初から実行して時間を測りつつ試みたが先のエラーが出て(今度もエラー26だった)異常終了。しかしそこまでかかった時間僅か1分程度。
(既にiOSのダウンロードが終わっているからだと思う)


「アップデート」がダメなら最終手段の「復元」しかあるまい。
これをやると工場出荷時の状態に戻ってしまうという。iOSだけは最新になるが。幸いにも二日前にバックアップを取っていたこともあり僅かの躊躇の末「復元」をポチっとする。

ところが信じられないことに同じ工程「ソフトウエアをAppleに確認中・・・」でまたまたエラーになった。(今度はエラー9)つまりアップデートも復元もこの辺りまでは同じ処理を進むらしい。
マジでか!と声に出して叫んだ。叫ばずにはいられなかった。こ、これはアップデートも復元もできないということかと。
四面楚歌、八方塞、万事休す。


エラー9と26はデバイスとの接続が切れたというなら、なんらか接触不良的なものなのか。USBケーブルを交換するという策もあったが取り敢えず突き進もうと「復元」を何度もトライした。
何度もやってたらエラーコードは26ばかりになった。

もうかれこれ10回以上はやってるかも。もう本当にダメなんだともう一度「復元」を慣れた手つきで進めたらiPhoneの画面のプログレスバーがススススと進んでいるではないかッ、、!っとiTiunesのステータス欄を見ると果たして”なんたら復元中です”的なメッセージに変わっている。

いごいた。(「動いた」の文法投棄用法)

筆者はその場で崩れ落ちた。
慟哭。

なぜ急にエラーが出なくなったのかは不明。本当にUSBケーブルの物理的問題だったのか?いやしかしケーブルは換えてないのだ。
このリカバリーは数回の失敗は気にせず何回もトライした方が良さそうだ。

復元作業はその後10分ほどで工場出荷時に戻りそのままiTunesのバックアップから復元に進み、全行程約30分ほどで完全復旧した。バックアップのおかげでリンゴループ前とほぼ同じ環境で復旧できた。


バックアップすごく大事。


ちなみに脱獄等一切やっておりません。全て純正です。
そうでなくともリンゴループは起きるのです。リンゴループ怖い。




2018/03/02

(No.2563): B G M のおもひで


37年前の1981年3月21日発売されたYMOの「BGM」というレコードアルバムは大人のYMOファンにはあまり受け入れられず、むしろその当時の小中学生が聴いていたという現象があったという。
(後年、細野さんのインタビューでもそのような発言があった)

1981年4月から大学生となった筆者は半分大人としてYMO/BGMを受け入れたのかと言うと、実はそもそもその年の7月までYMOにはほとんど興味がなかったのだ。


所謂ライディーンやテクノポリスが大ヒットしたのは筆者が高校生の頃で、一家に一枚ワイエムオーとまで言われていたほどの人気ぶりだったが、筆者は高校では鉄道研究部の副部長でアマチュア無線と電気工作を趣味とする所謂元祖ヲタク系だったので、流行りの若者音楽などには嗜好が向かなかった。
なにしろ毎週末は秋葉原のラジヲ会館などに通っては抵抗だのコンデンサだのを物色していた口だ。

ところが大学に入ったその年の初夏、1981年7月に筆者同級生の友人から借りたスネークマンショー「急いで口で吸え」を録音したカセットテープが切っ掛けで、突然YMOに興味を持った。
それに収録されていた「開け心 磁性紀」を聴いたからだ。この音楽は何だと思った。

誰の曲なのかと聞いたらYMOだというではないか。YMOはライディーンとかのひゅーじょんなバンドだよね、こんなよくわかんない曲もやるんだ。しかも電子機器を使って音楽作ったり演奏してるっていうのを知って俄然興味が湧いたのだ。(それまで興味がなかったからあまり知らなかった)
今年の3月には新譜が出たらしいというのを聞いて、聴いてみたくなった。


そして決定的だったのがその直後くらい。信じられないことに父親のカセットラックの中に何故かYMO/BGMを見つけた。なんで親父がこんなもん持ってんだ。という疑問もありつつ、そりゃもう当然聴くわけです。
初めて聴いた時、筆者はうおおおおおと震えたのでございます。まだ覚えてる。なんか怖かったから。そのとき18歳でしたが感覚が小中学生と同じだったのでしょう。

なぜ父親がYMO/BGMのカセット(当時はレコードとカセットで発売していた)を買っていたのか、父は数年前に隣接次元へ遷移してしまっているので今となっては聞くことはできないが、おそらく、「BGM」というタイトルを勘違いして買ったものと思われる。
イージーリスニングっぽいまさにバックグラウンドミュージックとでも思って聴いたら、ラップ!ラップ!とかメイキングミュージックとかギブミーアキューとかドコドコダカダカドコドコダカダカ、超地球的存在デスとか、何じゃこりゃ、呪文か?お経か?とでも思ったに違いない。

しかし、当時あなたの息子はこれを聴いて覚醒してしまったのです。そして37年経った今でもそれは続いております。


ちなみに、YMO/BGM はレコードで2枚、CDで2枚所有している。
裏面の機材リストも好き。


PS
実際、ファーストもセカンドも名曲が揃っているのをあとで知った。
simoon、absolute ego dance、大好き。