2018/07/24

(No.2571): 鼻茸取った噺(ノンフィクション)


毎年暖かくなれば治っていた左の鼻詰まりが今年はこの猛暑なのに一向に治らない。夏風邪が長引いているのかと思い、とても軽い気持ちで耳鼻科を訪なう。
ファイバースコープを突っ込まれ検査してもらうとポリープが出来ていますと医者が言う。このポリープは「鼻茸」といいそれが鼻詰まりの原因であり、蓄のう症が悪化するとできることがあるのだという。

「ほっておいても大丈夫なものですがもっと大きくなることもありますし、鼻詰まりは治らないのでこのくらいだと物理的に取るしか治す方法がありません」
「ぶ、ぶつりてきに取るというのは。。」
「内視鏡による鼻茸摘出手術です」
「ぷぎー」

手術は入院はせずにいわゆる日帰り手術である。予約し、診察から3日後の午後、慄きつつ病院に向かう。


(以降はリアルな表現を伴うため注意)

手術は鼻の穴から内視鏡などを挿入して行う手術である。昔のように上唇を切って皮を剥がすといった聞くだけでも身の毛のよだつ手術ではない。

局部麻酔は、麻酔薬染み込ませガーゼを鼻の奥へぶち込まれそのまま10分放置。待ってる間にも喉に麻酔薬が流れてきて喉も麻痺してくる。前に飲んだ胃カメラのことを思い出す。
10分後、鼻の中の鼻茸部分へ注射による直接麻酔も行う。もはや痛みはなかった。ここまでは。。。

鼻の奥の研ぎ澄まされた痛点のエンベロープは予想を遥かに上回るものであった。


通常の診察台にて座ったままの手術開始。たくさんの器具が見えたが痛さと怖さでほとんど目をつぶっていた。

副鼻腔は顔の中に広がっており、そこまで器具が入ってきてガリガリやるものだから、頭の中から外側に向かってざくざく切られているような感覚を味わう。
これが、麻酔は効いているのだが激痛なのだ。実際、これまで経験したことのない痛みだった。

鼻の中に水が入ると痛いでしょ?それの1万倍くらいの痛さ。(分かりづらいけど)


痛さで硬直していると
「はい目を開けてー、ひとつ取れました」とお医者。
見ると切除したばかりの血だらけの鼻茸をピンセットで持ってて見せてくれた。なんか”なめくじ”っぽかった。

嗚呼終わったのかとほっとしたら、すぐまたさらなる激痛が襲った。一番痛かったのは眉間の中というか内側あたりをすごい力で削られているような時。涙がぽろぽろ出た。
本能的に思わず逃げようと体を動かしてしまったら刹那「動かないで!!!」と一喝された。
で、もういちど
「はい目を開けてー取れました」
それは半透明なグミみたいのだった。まだあったのか。。。結局合計3つあった。


鼻血というか出血がすごいので術後は薬付きガーゼを鼻の奥に3枚。押し込まれる。麻酔が切れてくると切除の痛みよりもガーゼ3枚が鼻の奥(顔の中)に入っている痛みが大きかった。

手術翌日以降は、ガーゼの交換で毎日通院。麻酔が切れているものだから、ガーゼ交換がこれまた激痛だった。ガーゼ数枚を鼻の奥に突っ込まれて24時間耐えるのは修行だ。
手術から4日後、ようやくガーゼも取れて完了した。苦痛から解放されてマジでほっとした。

ちなみに、手術後の左鼻の抜け具合といったら信じられぬほどの貫通感だ。鼻詰まり一切なしスースー。

何かと鼻が詰まりやすい方は一度耳鼻科の診察をお勧めする。ひょっとすると鼻茸で塞がれている可能性もあるからだ。
もし手術になったら心してかかってください。そうとう痛いので。



2018/07/01

(No.2570): 4ヶ月待ちのsub phatty雑感


え、ちょっと待って6月飛ばしたというのか。
気付けばここのブログ1ヶ月以上放置。なんと気持ちの良い。
放置って素敵。



唐突のmoog sub phatty雑感。
へっついの隅で爪を噛み半裸体育座りにて人生とはを問い続けて4ヶ月、そのオシレーターの素音の意外な細さに嗚呼待った甲斐ありと叫び、その10kg近い重さに嗚呼待った甲斐ありと咽び、今わたくしの眼前にはいぶし銀の体躯が横たわっております。



一番驚いたのは、シフトモードという見えているノブ以外にも多くのパラメータが存在したこと。
シフトモードはある特別な手順によりアクセス可能となる。パラメータは例えばLFO周波数レンジの選択(0.01Hz極超スローから100Hzまでを3つのパターンで選択)、フィルタースロープの選択(2ポール12dB、4ポール24dB)、擬似的なアルペジェータとして機能するアンプエンベロープリピートのON/OFF など
50種類以上のパラメータが存在する。それらを組み合わせれば百花繚乱音!
と言いたいところだが、現場でこれらのパラメータをリアルタイムにさくさくと触ることは困難である。だって種類がたくさんあって覚えられないんだもん。





でもメインの構成は至ってシンプル。オシレーター波形を連続可変式とした独特な機構はあるが非常に基本的な構成。
LFO、2VCO+noise、VCF、VCA、エンベロープはフィルターとアンプ、LFOモジュレーション先はピッチ、フィルター、オシレータ波形に掛けられる。




地味な評価ポイントとして
アタックを最短にした場合のパーカッシヴなアタック感が半端ない。
例えばRoland SH101でスネア的な音を作ってもコンプなどで潰さないと強烈なアタックにはならないが、sub phattyではそれを素でできる。moogの真骨頂なのか。
発音時の波形頭を鍵盤打の度に初期化するというパラメータもあるのでおそらくこのあたりの合わせ技なのだと思う。

あと鍵盤がアフタータッチ、ベロシティ対応なのも良い。今ではほとんどのシンセに搭載されている当たり前になった機能だが、前僕microbruteにはなかった。
ノイズはホワイトではなく、ピンク。これもmoogこだわりの逸品。


出力は男らしく1/4フォンのモノラル出力一本。ステレオアウトなど「ぬ」。
残留ノイズが若干あるのはご愛嬌。
他に1/4フォンのオーディオイン、CVイン、GATEイン、東横インがある。USBとMIDIインアウトも装備。
DAWからの同期信号経由でKORG SQ-1のCV GATE OUT から問題なく駆動できた。




sub phattyは単体で聴くとそれほど太く感じないが、ソフトシンセだけで作られたトラックを流しながらsub phattyを弾けばその存在でバックトラックが全て後方へ追いやられてしまう。やはり芯の太さゆえなのかもしれない。
今後現場での目標は、逆にその存在を消すことである。