2015/11/25

(No.2408): 理想なる電子音楽スタジヨの点景


dewey下手側システムtaira士官のブログにも在る通り電子音楽を嗜好する人間ならすべての機材を結線しいつでも作業をリコールできる環境を一度は夢想するだろう”。

つまり、手の届く範囲に全ての機材を「あらかじめ」配置し、結線し、電源さえ入れればすぐに音が出せる環境のことを云う。筆者の音楽制作34年間においても、いつでも稼働できるスタジオ構築という命題は常に標榜しているものだ。
しかしこの長い年月それが僅かにでも実現できなかったのかと問われれば答えは否である。そう、一端でも実現できた状態はあった。

しかしそれは長くは続かない。何故か。分析した結果以下の二通りの理由によるところが大きい。

1 実はフレキシビリティは弱い
結線状態が創作する楽曲全てに当てはまることは、ほぼない。
つまり、楽器や機材との接続はセッション毎に接続するケースが多いのだ。MIDI機器に限らず特にアナログ機材を中心とした場合顕著である。全てをコンピュータの中で結ぶことも可能ではあるが、それでもいくばくかのMIDI機器は存在するし、しかしそれだけではあまりにも詮無い。ハードウエア楽器を加えたいのも心情。

そしてその場合、パッチベイという機材を使えばフレキシビリティは格段に向上する。(実際筆者はパッチベイを数台所有している)しかしその反面、事項で説明するがメンテナンスビリティには乏しい。当然パッチベイを買わなくてはならん。お金もかかる。

結局、上述の全機材結線では壮観な見栄えでありながら、故の繋ぎ換えなどは頻繁に発生し得る事象でありそういう所作ひとつひとつが創作活動であり愉しみであるという初々しい心も今となっては遠い思い出でなのである。


2 メンテナンスする意志の強さ
実はこれが一番重要だと思う。
如何にメンテナンス(っていうかお掃除)に時間が取れるか面倒くさがらないかが非常に重要なファクタである。つまり全機材をむき出しでさらけ出している状態。こんな状態で1ヶ月もほっぽらかしてみたまえ。鍵盤やミキサーのフェーダーの隙間やあらゆる場所には埃がうずたかく積もる。ミキサーのプラグや楽器のプラグ、ケーブルのプラグ接点はガリが出る。
埃を気にして、普段は機材の上にシーツや布などを掛けておく、といった対策も施してみたものの、それでもそれなりに劣化は進むのだ。(ちなみに現状はミキサーの上に布を掛けている)

だから、先のパッチベイなどを導入しようものならパッチベイ前面後面のプラグの洗浄はもちろん、接続ケーブルのメンテナンスなど日常ルーチンワークとして必須なのだ。筆者のパッチベイなら前面後面で合計64個のプラグ掃除をやらねばならない。しかもこれを3台とかやってみたまえ。半日は潰れる。これは極端な話で毎日やるものでもないが、それでも些か辛い。

つまり、手の届く範囲に全ての機材を「あらかじめ」配置し、結線し、電源さえ入れればすぐに音が出せる環境を継続して維持させるためには、毎日のお掃除習慣という強靭な精神力が必要なのである。
サンレコ誌ではプライベートスタジオ特集などどれも素晴らしいスタジオの写真が掲載されているが、「お掃除にかかるエネルギー」を考えたら気が遠くなりそうだ。サンレコは機材群のお掃除特集を組むべきだ。(特に精神論。如何に面倒臭がらずにやる気を出せるか、みたいな)



つまり、筆者はそれで挫折したのだ。
だから、使わないとき機材は19インチラックに入れて蓋をしてしまっておく。シンセサイザーなどは専用ケースに入れる。ケーブルに至っても全て箱などにしまっている。おかげで埃一つつかず爽やかな状態なのであるが、使う度に出してケーブルを結線している。
従って、毎回セッティングから入るという強靭な精神力が必要である。
あーいちいち面倒臭い。リズムやメロディの発想を今すぐ打っておきたい時にひどく不便。

だから手の届く範囲に全ての機材を「あらかじめ」配置し、結線し、電源さえ入れればすぐに音が出せる環境が欲しい。


以下、無限ループ。





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