(前回「購入前編」の続き)
1986年にOberheim Matrix6を買うまで、筆者の所有シンセは、Roland SH-101(現在も所有)とYAMAHA CS01、KORG POLY800、そしてドラムマシンのRoland TR-707だった。
Oberheim Matrix6を買った理由。KORG MONO/POLYなどツマミやスイッチがたくさんあるシンセに憧れていたが、あのOberheimが手の届く価格で発売されたことが決め手だったかもしれない。Sequential Circuits同様、当時OberheimはOB-8やドラムマシンのDMXなど高価な楽器が多かった。
Oberheim Matrix6の購入と合わせて自宅(当時はアパート)の制作環境を刷新した。
それまで録音環境はTASCAM 234というラックマウントできる4トラックカセットMTRとTASCAMの6chミキサーだった(型番失念)が、すべてを売った。
そしてTASCAM 38 というハーフインチのオープンテープを使う8トラックMTRとFOSTEX 450-16という16chレコーディングミキサー卓を導入した。同じ時期にYAMAHA QX5 も買った。筆者の初めてのMIDIでの打ち込みはこのシーケンサーだった。
MTRとミキサーだけで購入価格は約100万円だった。車以外の買い物で100万オーバーだったのでめちゃくちゃ緊張した覚えがある。
翌年この録音環境のおかげで、キャプテンレコード所属の某バンドのレコーディング仕事をやったりもした。
Oberheim Matrix6の音作りは筆者には操作しにくかった。テンキーやエディット用のボタンは配置されているものの、当時流行りだしたデジタル化のはしりだったので、アナログシンセのように物理的なツマミやフェーダーは無い。音色エディット(パッチエディット)はすべてファームウエア上でやるので、パラメータ情報はディスプレイ表示から得るのみだ。従ってメニューから目的のパラメータまで階層を潜り込み、エディットは数値入力で行う。
慣れてくるとパッチエディットパラメータは覚えるがけっこう量があるので、Matrix6の上面には各種エディットのメニューとパラメータ一覧が直接印字されている。
ここでOberheim Matrix6の主な特徴とスペックをあげる。
音源構成:
6ボイス・ポリフォニック。1ボイスあたり2つのDCO(デジタル制御アナログ・オシレーター)を搭載し、当時のアナログシンセとしては極めて高いチューニングの安定性を誇る。
マトリックス・モジュレーション:
最大の目玉機能。20のソース(LFO、エンベロープ、ベロシティ、アフタータッチなど)を32のデスティネーションに自由にルーティングでき、非常に複雑で動きのある音作りが可能。
フィルター:
Curtis CEM3396チップを採用した24dB/octのローパス・フィルターを搭載。Oberheimらしい温かみと太さがありつつも、以前のOBシリーズよりはやや繊細でモダンなサウンドキャラクターを持っている。
キーボード:
61鍵のシンセアクション鍵盤で、ベロシティとアフタータッチに対応。
( 原文:Google AIより)
当時、製品名でもあるマトリックス・モジュレーションの意味があまりよくわかっていなかった。一般にはモジュレーション・マトリックスと呼ばれる機能のことだ。とにかく適当にソースとデスティネーションを設定して変調量を適当に数値入れると、変な音になったりするので、こうするとこうなるといった感覚で作っていた。
モジュレーション・マトリックス(マトリックス・モジュレーション)は、音色を変化させる「信号源(ソース)」と、変化を受ける「対象(デスティネーション)」を、縦横の表のような形式で自由に結びつける機能のこと。
通常、シンセサイザーの音作りで例えばビブラートは「LFOでVCOなどのピッチを揺らす」といった設定になる。マトリックス機能を使えば本来は決まった役割のないパラメーター同士を複雑に組み合わせて、予測不能な音の変化を作り出すことができる。
モジュレーション・マトリックスは現在はほとんどのシンセに搭載されている機能だ。各メーカーによってソースとデスティネーションの要素が多様になっているので、それもその楽器の特徴のひとつになっているかもしれない。
今号のFILTER誌の製品レビューにも書いたが、モジュレーション・マトリックスを使って例えば鍵盤を強く弾いた時だけレゾナンスがかかるといった変化を作り出せる。ソースをベロシティに、デスティネーションをフィルターのレゾナンスに割り当てて高い値を設定すれば強く弾いた時にレゾナンスがギュイーンとかかる。ギミックっぽく使える。Oberheim Matrix6にもその要素パラメータはあるので、できそうだ。試してみようっと。
Oberheim Matrix6は1998年頃までよく使っていた。それ以降は段々と使用頻度が減っていき、特に2000年にCLAVIA NordLead2を購入してからは電源も入れなくなった。
購入から既に40年。果たして約28年ぶりに電源を入れた。
次号へ続く。
おまけのコーナー
1986年当時のスタジオ(アパート室内)を撮影したベータビデオの動画があり、ミキサー卓やOberheim Matrix6などが映っていたので短く編集したものを掲載する。
ミキサー卓からパンするとOberheim Matrix6が写ります。 Matrix6の上にYAMAHA QX5が乗ってるねー。その先をパンしていくと、Roland TR-707、KORG POLY800とRoland SH-101が写っています。
それと、当時の筆者も映っている動画も併せてどうぞ。めっちゃ若い!
なお音声は消しているので音は出ません。
なにしろ40年前のベータビデオテープからキャプチャしたので画質は恐ろしく悪いです。ちゃーん(いくらちゃんのモノマネで)