2015/04/29

(No.2336): 第五の力の存在


ようやく動きがみえてきた矢先、思いがけない良ブッキングのオファーを頂いた。しかしその日程は図らずも筆者が東京にいない日でありせっかくのお話なのに「なんでそうーなるの?」(コント55号坂上二郎さんのモノマネで)と膝から崩れ堕ちた。
こうして見えない力の作用で我々の芽は摘まれてゆく。

そんなおり、deweyのCD制作第二弾企画会議が行われた。会議では、どうだいここで一つ大きな冒険をしてみようではないかということで話はまとまり、先ずは某氏へ依頼メールを投げる。いつもはすぐに返信をくれる某氏なのに無反応。
こうして得体の知れない力で我々の芽は摘まれてゆく。

この未知の力の作用は我々はすでにライブで体験している。MIDIキーボードUSB金具粉砕、アドホック通信不通、VJ送出時になんかわけわかんない宣伝jpg写しちゃった件、などあげれば枚挙に暇がない。

この力は統一場理論における電磁力、弱い力、強い力、重力の自然界に存在する4つの力以外の力であるといわれる。そう、つまり第五の力である。




2015/04/27

(No.2335): 晃一郎と吉之助(迷宮の提唱会)


先日の夜桜の頃よりも一層温かさを増した辻から、亀住町行きの最終東京市電がガタコトと揺れて路地に消えていった。その市電の通る表通りの辻にある木造二階家。階下は道具屋になっている。その道具屋では仕入先のわからぬ怪しげな物品や拾ってきたような生活の品々を並べて商っている。店主はなぜか晃一郎を気に入って格安で二階の六畳に住まわせている。
その二階の六畳に白湯とお茶を挟んで、晃一郎は月読栄堯郎と向き合っていた。六畳間に設えた一尺ほどの小窓は開け放たれ、皐月の夜風が心地よく部屋に誘う。

「奴らに足りないものは何だろうか。IIS7.5+ASP.NET基地を攻めるための気だるい午後のひとときか。はたまたApache2.5+Tomcat6城を落とすための門外不出△家の隠された秘宝か」
「月読(ツクヨミ)の言ってるこたぁちっともわかんねぇ、もちっとわかるように話せよ」
「晃一郎くん、君ねつまりこういふことだよ」
月読は言いながらは立ちあがり、通りに面した一尺ほどの小窓の外に向かって「奴らに足りないものはっ、何だというのかっ、何なのだッ」と叫んだ。
「おいおい、うるせぇぞ、夜中だってぇのに」
晃一郎は慌てて月読の袖を引っ張った。
「晃一郎くん、君ねそんなじゃ埒は明かないんじゃぁないのかい」


そこへ階下からばたばたと裸足の足音が階段を駆け上がってきた。

「ハァハァ、こ、晃さん、遅れて 、すまねぇ、デハー」
吉之助が息も絶え絶えに部屋に入ってくるとそのまま畳の上へ転がった。
「おい、おめぇもちっとは静かにしねぇか、下にゃ大家が寝てんだぜ」
「ハァ、ハァハァ、て、提唱会のはなしを、聞かせておくんない」
そう言うと晃一郎の湯のみの白湯をぐいと飲み干した。一息ついたのか、立っている月読に気付き、慌てて「あ、どうも、吉之助と申しやす」とまくした。

晃一郎はやれやれという思いでおもむろに続けた。
「例の軍装のれんじゅうの次の提唱会だがよ、実ぁまだ決まっちゃいねぇんだ」
「へ、なんだ、まだ決まってなんですかい」
「それで、おめぇ、、この月読先生に出張ってもらってるんだがよ。。だがどうも、なぁ」

「晃一郎くん、君ね、なんだねその落胆したような物言いは」
「いやなにね、結局、月読もその辺りにゃ弱いってこった」
月読はしずしずと畳に座り込んだ。

「例の軍装のれんじゅうに足らないもの、でやんすか」
ごろりと横になり鼻くそをほじりながら吉之助がのんびりと言った。
「ああ、おめぇなんだと思う」
「おいらにゃ、さぱりと見当がゆきやせんや」
「もうお手上げてぇとこだな」
もう仕舞いかと腰を上げかけた晃一郎に、先ほどとは打って変わったキツイ目を向けて月読が静かに言った。

「晃一郎くん、君ね、奴らはね、deweyの奴らはそもそも存在などしていないのだよ」
「どういうこって」
晃一郎は驚いて月読を見据えた。
「全ては幻影、空想、マボロシなのさ、おそらく、私もね、そして君たちもさ」
そこまで言うと月読はすっと立ち上がって晃一郎たちを見下ろした。
「実体さね、奴らに足らないのは、実体さね」

そう言い終えた月読の体は透けて見えていた。その消えつつある月読を見上げて晃一郎と吉之助はその場を動けなかった。しかしなるほど、そういうことか、と晃一郎はある確信を持った。

「こ、晃さん、こ、こ、こっ」
口だけをぱくぱくしながら吉之助はがたがたと震えている。
「おいらにゃ、わかったぜ、全てのカラクリがな。。」

最終市電の過ぎ去った路面電車のレールの鈍い輝きが夜の帳の色と同化するのに時間はかからなかった。




2015/04/26

(No.2334): 特にサゲのない週末弐選


(壱)
六本木アートナイト2015を訪なう。
実は去年も六本木アートナイト2014へ行った。その時はプログラムの一つの森美術館で開催していた「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」を観た。確か夜の23時くらいに入って26時くらいまでいたと思う。

このイベントは六本木ヒルズを中心として一晩中六本木の街の全体でアートのお祭りのような状態になるのだ。フジロックを毎年経験しているので同じような雰囲気を感じるが普通の街が深夜まで賑わって躍動している状態はフジとも違う非日常感に溢れている。今年も同じ様相だった。
一つ違うのは今回はingressのイベントも同時開催していたことだ。
これ ↓
【あなたの一撃が、ヒルズの色を変える】Ingress、六本木アートナイトで戦況反映の仕掛け
【六本木を操作した夜】六本木アートナイト × Ingress レポート

この期間中のみのingress公式限定ミッションがあったのでそれをやるために行った。会場というか街はエージェント多数。一般のお客さんも大勢いるが、ポータル周辺はどこを見回してもおそらくエージェントさんばかり。そんななか敵色エージェントさんたちを初めてリアルキャプチャした。



(弐)
普段用ライディングシューズを購う。二輪用の靴だ。
今使用しているのはelfのいっちゃん安いやつ。もう靴底のゴムがびろびろになって剥がれ落ち、かかとの部分はぱっくりと割れてしまっている。雨天では靴下びじょびじょのほぼ浸水100%だ。
近々に長時間使用するし、普段履きだし、いっそ買い換えようと自動書記の如く瞬時にポチった。新製品のelfのいっちゃん安いやつを。金曜の夜22時ころポチって土曜の14時に来た。なんという早さ。

梱包を解いてさっそく履いてみた。刹那、ちょっとキツイ感。
何も考えずいつものサイズ26.0で発注したが、そういえば最近は26.5の靴を履いていることが多くなったじゃないか。26だとキツかったじゃないか。もう鼻歌を歌いながらタグも切っちゃったし、箱なんかも潰しちゃったし、後戻りはできぬ。
今履いているそのelfのズタボロになったライディングシューズのサイズを確かめる。26.0との打刻を確認。ほら、間違ってやしない。今のこのelfのズタボロになったライディングシューズはぜんぜんキツくないじゃないか、だから大丈夫だ、履いてるうちに伸びてくるのさ。履いてるうちに伸びてくるのさ。
ルルルルー





2015/04/24

(No.2333): 2015年4月度 dewey活動進捗報告(みたいなアレ)


現在deweyは自らマネジメント業務に従事邁進している。主な業務は次回以降ライブのブッキングである。それは波があり、オファー頂くときは重なり過ぎてお断りしてしまうほどの繁忙となることもあるが(過去にあったが)、基本的にはメンバー自身の地道な広報・営業活動によって支えられている。

だいたいにして、無名で得体の知れないdeweyという中年と初老の男どもが繰り出す電子音塊などが一体どれだけの人々の琴線を弾けさせるというのか。だから幾ばくかの広報や拡散を込めてSoundCloudやYoutubeなどのネットを使って、deweyの音楽を聴いて頂こうというプロモーションを打つ。一般的にはこれらメディアはある程度効果的であるといわれる。
しかし筆者はやはり”生のライブ”(頭痛が痛いと同義)というものに勝るプロモーションはないと想っている。「ライブ」を得るためのプロモーション自体が「ライブ」というのはおかしな話だが、お客様方にdeweyのライブを体験して頂くことで「次」が生まれることが多いのも事実だからだ。
それが奇怪なエレクトロ音塊をして我らの珍妙な佇まいや意味不明な同期VJを流しつつシドロモドロのMCなどを含めてみても、だ。

お目当てのバンドの対バンでdeweyというのをたまたま観た。というシチュエーションがほぼ全てだが、それが嬉しい。このようなケースでdeweyを知って頂けることには大きなメリットがあると思っている。しかしこの場合、ライブイベントの方向性が重要な要素となる。
すなわち、オールジャンル的な或いは我々とひどく異なる音楽ジャンルのバンド様ばかりの場合、お客様からしたら、なんだこいつ等という事態に陥リかねない。それは例えば、Guns N' Rosesとmouse on marsが対バンするようなものだ。(ひっちゃかめっちゃか)
従って特に初めてご相談するブッキングご担当者様にひとつだけお願いを申し上げるとするならエレクトロニック、テクノといった電子音楽系バンド様ユニット様方々とのイベントにと、謙虚に丁寧にお伝えしている。


以上のような諸事を投げ込みながら彼方此方にお伺いを立ててはいるが、嘗ての轍を踏むが如く遅々として進捗には及ばず毎日受信トレイを見ては自棄酒(水)を煽っている状態。ただ現時点では11月にひとつイベント出演が決定しているのが有難い。(これはまだ正式発表前なので内容は控える)
一方でこの閑散期に乗じてアルバム制作第二弾の検討に入りつつある。



2015/04/22

(No.2332): 「温泉鉱泉と電子音楽の効能」のその前


1981年から1988年くらいにかけて日本各地(主に北関東、甲信、東北)の温泉や鉱泉に頻繁に行った。
おそらく70〜80湯近くは行っていると思う。筆者の時代でいうと大学時代から社会人数年くらいまでの間である。主にトホホテクノユニットなどを一緒にやっていたAと行くことが多かったが、他の音楽関係者数名ともよく行った。

有名な観光温泉地は見向きもせず、知る人ぞ知る一軒宿の温泉や寂れた湯治場を好んだ。そういうところは昔ながらの混浴も多かった。筆者は「温泉鉱泉と電子音楽の効能」と謳ったサイトを1994年くらいから1997年くらいまで運営していたことがあったが、それはこの80年代の経験を活かしたテクノ音楽と温泉鉱泉の関係を説いた非常にマニアックなサイトだった。一部の好事家の間では話題になったと聞く。

実際、80年代には様々な実験を試みた。一体どんなことをやっていたのかというと、例えば、F県H郡に存するY温泉I旅館にて、午前2時にカセットデッキで「Mass」を小音量で再生しながら湯温38度の温めの温泉にじっくり入るというパフォーマンスや、F県B市B温泉の旅館の部屋で「BirthdayParty」に合わせて三人の男が非日常的な演舞をそっと繰り広げた様子を撮影した作品など、「場違いな光景」を記録するという表現活動を行っていた。

今でこそ温泉は若い人が観光に訪れることは極めて普通のことだが、当時、温泉、まして湯治場などには二十歳代前半の若い男達が行くということはまずなかった。本当に病気を治す真の意味の湯治でしかありえなかった。だから筆者たちが湯に浸かっていると必ず爺さん婆さんから話しかけられたものだ。
「あんたら若けぇのになんだべしたーこんなとこ来てー」

そんなときは不審に思われないために、僕たちこういう温泉が好きなんですと言った。本当に好きだからウソは言っていない。電子音楽と温泉鉱泉の効能を確かめているのです、とは言えないだろう。

最後に「寂れた湯治場」という表現の意味を付け加えておこう。これは例えば歴史のある当時のままの建物や風呂場の「時代がかかった」感などのことではなく、夕食のメニューに町のスーパーで売っていたハムカツが出てくるトホホ感といった「中途半端さ」という意味なのだ。我々にとっては非常に重要な指標となる。


2015/04/20

(No.2331): 原作のリズムの本郷さんの34年前の


原作の漫画の「食の軍師」のリズムが好きだ。
今を遡ること三十と四年前、筆者がまだ大学生だったおり、手に取った単行本漫画「かっこいいスキヤキ」の冒頭作品「夜行」は「泉昌之」名義のデビュー作であった。トレンチコートの男(本郷播)が夜行列車の中で駅弁を使うだけのお話なのだが、何をどのように食べ進めるのか、いちいち独白しながら一喜一憂しながら、食べ進むのだ。嘗てこんな漫画があったろうか、と当時はそのニューウェイヴ具合にハマりまくった。

「食の軍師」はその時のリズムが34年経っても遜色なく描かれている。やはり筆者は「泉昌之」のコンビが好きだ。久住氏のネームには和泉氏の絵がぴたりとハマる。エロい作品も面白い。「エラーマン」とか。初期の作品だと「POSE」もいい。アヴァンギャルドで。
他の連載もので「泉昌之」作品といえば、「ダンドリくん」があげられるだろう。筆者も当然、単行本全巻持っている。この作品も新作を読みたい作品の一つだ。水野みどりちゃんと結婚したおじさんサラリーマンとなったダンドリくんなんてのも面白そうだし、サザエさん形式で年齢変わらずに未だに大学生というのもオツだ。

ちなみに、「食の軍師」4巻「町屋稲荷」でスキヤキの講釈をしている部分があるが(42-43ページ)あれはデビュー作単行本「かっこいいスキヤキ」の「最後の晩餐」という話と同じことを言っている。しかも登場している人々も「最後の晩餐」で登場している本郷さんの学生時代の友人だ。
「食の軍師」4巻 42ページのスキヤキ鍋を囲む4人、右から本郷播(神奈川県横浜出身)、長谷川辰哉(東京都青山出身)、林豊巳(鳥取県気高出身) 、田中好夫(埼玉県浦和出身) である。
さらに言うなら、来ている服は部活(体育会系と思われる)のユニフォームっぽい服だ。



2015/04/17

(No.2330): この一週間のこと(ゼレファンタンケルタンツ方式)


サイネリル博士によれば扁桃腺炎症による不具合で所謂総合感冒が発症し、今日書こう明日書こうと(いやこの屑ログを)八方手を尽くしてはみたものの丸五日はご覧の有様。であるからして今週の生き様を有り体に申せば以下のような顛末にて候。
月曜に「ノド痛ぇッ」とその感冒の発症から始まり、ついに火曜に昏倒。感冒の治らぬまま水曜は仕事の都合でK県A市の某所で8時間立ちっぱなし。感冒をなんとか封じながら木曜は仕事後大久保「ひかりのうま」にてコヒーレンスさんらのライブを拝見。感冒の最後の砦を越えながら金曜を迎え、そしてイマココ。

どうせこんなロクでもない電網辺境のカレー作ってる時に鍋に浮かぶアクのようなブログなど更新がなくても屁の河童なのだが、おいいま屁の河童って40年ぶりくらいに使ったぞ、などとつまんねぇおっさんのような塩梅になってきましたが、いやツマランおっさんなのは正しいと思うのでこうして書き進めているわたくしたちは実はですね、次回deweyライブの算段をあっちやこっちに飛ばしてはいるですが、これがどうにもこうにも我々の努力が足らぬのでしょうか、各方面とも足並みを揃えましてなしのつぶてでございまして、これはもしかしたら我儘放題のdeweyなどを相手にしてはならぬといったオフレがしかるべきところから発布されたのでしょうか的なアレなのかしらと電報を打つさま。[形容詞]


ゼレファンタンケルダンスは とても優雅なものさ
どうだいちょいとひとつ 試してみないか
用意するものは ハンカチが三枚
それを空に放り投げて 落ちてくる前に乗るのさ

みんなで 踊る 踊るゼレファン
踊り 踊る みんなでゼレファン

(C)1983 近代案出

2015/04/12

(No.2329): サイネリル博士の陰謀(と見せかけておいて)


サイネリル博士の報告によればE33のセシ受容体からリンクを貼れば新しい幻影(フコルムミ)が昇華するとのこと。そこで我々はリンクを貼るそのための様々な支度を始めることにした。昨年はE33のうちE8-E15あたりまでの拠点を巡った。今回は受容体の特徴を考慮してE1から順当に巡る。
その支度の内訳を以下の通り記録する。

先鋒
沓ソール部のゴム状片剥離において新たのデバイスを求める算段もインクリメントとディクリメントの鬩ぎ合いに結果、コンシューマツールで対応。

次鋒
コンテナを8Qから30Qという4倍弱の容積に転換。その設置にはまだ幾ばくかの不安要素があるが、暫定フィットでは概ね許諾を得る。

中堅
装甲の盾を採用。全体の11%にも満たないが有ると無いでは雲泥に差を齎す。また装着時の状況に応じて軍装の報告もあり。特にアウター装着時に顕著。

副将
(メンテナンスの類)以下、略。

大将
周波数変調をして中空の電磁波に乗せる画期的なデバイス群。唯一課題は内装へのカスタマイズと運用。フレキシビリティによる操作性と実用性を確認するため近日中に調査。



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E33期間に労使契約上の割り込み事案が発生する確率は以下の式で求めることができる。
fxi(Etn) = fi(xi)/Sfi(@2vm2)dx
(摂氏15度以上で)







2015/04/10

(No.2328): 進化の度合い二歩と半分の半分


新たな開拓の時代が訪れようとしている。過年、怒濤なる方位変遷や新たなる場における愉しみと試練と人々とを繋ぐ回線の確保。いずれも及第点は頂けると我々はジフしている。自負している。
場は急務の遷移を課し、追って我々も新たなる地への幻を追う。とはいえ発芽のエネルギーは少しも衰えてはおらず施策の献立も様々に整いつつある。

先鋒、次軍を率いて常の上位レベルへCALL。我らの持ち駒を地下で聴かせ尽きる。弾かれの琴線はその理由を嗜好と運に求めるものなのか。我々は進化し、追って沙汰を待つ。

その大部分はここで夢は夜開く。
dewey オフィシャルサイト




2015/04/07

(No.2327): 機械音声は好き(スピンオフ其の弐)


ラルゲリュウスの焼き鳥くれッ
塩で。



「(No.1921): 機械歌唱は好き」の巻で筆者の勝手な持論というか嗜好癖を綴っているが、自分で書いておきながらいま読み返してもなるほどと想う。

それだからボコーダーを使った機械音声の送出もまたdeweyの上手側に立つ筆者の役割の一つなのである。考えてみれば筆者の作る曲で歌や声がある場合、ほとんどが機械音声だ。

例えば2013年12月に発売したdeweyのCD「オルドビスの遺産」に収録している「非常階段のピザ」の曲中で聞こえる機械音声は、ある翻訳サイトの音声発生機能を利用して録音加工したものである。
(※「非常階段のピザ」はベーシックな構造はtaira師が制作しそれに私が少し音を足したもの)

なお「オルドビスの遺産」は以下で取り扱っております(地味に宣伝)
パッケージは 池袋 TOKYO FUTURE MUSIC さんで絶賛発売中。
MP3は Apple iTunesStore で絶賛発売中。
(MP3は2013年10月発売)


さて、そんな機械音声嗜好であるが、当然のことながら筆者制作の新曲「complexitate」の曲中声も同様である。
ただしライブではその部分はボコーダーによるリアル発声としている。正しくはボコーダーのキャリア入力に機械音声自体の音をアサインしている。ちなみに「complexitate」の詩はルーマニア語。
↓それではお聴きください、ギャニュギャニュ系電子音楽 deweyで「complexitate」




ところでdeweyではステージ下手側「表」担当taira師の生歌歌唱も見所聴きどころなのは言うまでもなく、従いまして機械音声と生歌の両方をお楽しみ頂ける変化に富んだライブとなっております。

そして次回deweyのライブで筆者は、ボコーダーに加えて似非AutoTune的な音程補正系ボーカルエフェクトMAutoPitchというVSTをひとつ試してみようかと思っている。
いや思っていた。
過日、筆者生歌トラックをかませてみたところ、筆者のあまりの音痴加減の所為なのか全く効いてない。辛うじてフォルマントの変化はあったのでエフェクト的には効いているらしいが、肝心の音程補正がほとんど効果がなかった。そのあまりの酷さ(自分の生歌の)に爆笑座り放屁したほどだ。
キミも座り放屁したいなら次回deweyライブへ来よう。いや来るべきだ。次回ライブ勢威調整中未定。




もうなにがなんだか。



2015/04/06

(No.2326): こんな未開の文塊の読まれの回数


この電網最果ての得体の知れない何が何だか
さっぱりと容量を得ない
↑要領を得ない、
あたくしがテキトーに殴り書いているこの
いまあなたがご覧になっているこの屑のような
文章の塊群について統計情報を久々にみた。
こんな。






↑ちなみに直リンだとアレなので画像添付とした。
なんかよくわからん巻が1300以上もヒットしている。
1位と2位はタイトルでヒットするものと思われ
いっそぜんぜん関係ないタイトルに変えてみよう。
deweyのなんとかっていうタイトルの回が
かろうじてベスト10に入っている。
それも不思議だ。



















奉ります。


2015/04/02

(No.2325): 遠巒の廻廊(十二)


直近バックナンバー
遠巒の廻廊(十)
遠巒の廻廊(十一)

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「ワイマールさん!」

眠気眼で遅い朝のコーヒーを飲んでいたワイマールの家に
ヤン・ヨークビンセントが飛び込んできた。
ケント州カンタベリーにあるフェルディナンド・セジュウィッチバーグ博士
の自宅から北北東に113歩先にあった謎の東洋人の家へ行ったのが昨夜。
そこから帰ってきたのは、午前2時をまわっていたのであまり寝ていない。

「やぁ、おはよう、ヤン君、夕べは・・」

と言い始めるとヤン・ヨークビンセントが遮って捲し立てた。

「ワイマールさん!スガイが出て行きました!」
「え?スガイって?」
「忘れたんですか、あの東洋人ですよ」
「あーあ、そうかスガイだったね、出て行ったとは」
「えー、それがやっぱり怪しいですよ、今朝一番であの辺りの不動産屋を
当たってみたんですが、不動産屋は一軒しかなくて、すぐにわかったんですけど」
「あ、ちょっと待ってヤン君、まずは座ろうよ、コーヒーでも飲むかい」

ヤン・ヨークビンセントは促されて椅子に腰掛けた。

「その不動産屋によるとですね、今朝7時にスガイから電話があって
今から引き払うと言ったそうなんです、朝の7時ですよ、ワイマールさん」
「しかしね君、もともと引越すつもりだったんじゃないのかね、ほら、
家財道具も見えなかったっていうのもつまりそういうことじゃないのかな」
「それがそうじゃないんですよ、ワイマールさん」
「というと?」

ヤン・ヨークビンセントは淹れてもらったコーヒーを一口飲むと
少し落ち着いたのかいつもの口調に戻って言った。

「スガイが住み始めたのは先週の水曜からなんだそうです、水曜ですよ、
まだ僅か一週間ですよ、しかも電話の工事が明日だったそうです、
明日、工事なのに突然出て行ったっておかしな話じゃないですか?
昨日の夜、僕らが訪ねたから慌てて出て行ったとしか思えない」
「なんで僕らが訪ねたら慌てるんだい?」
「それは、わかりませんけど、何か探られたくない理由があるんですよ
やっぱり先生の失踪と何か関係があると思うんです!」
「あの家が気に入らなかったから出て行ったんじゃないのかな、
そうでなかったら、んー毎晩お化けが出て困るとか、あの家も中世からの
古い建物だろうしねぇ」

ヤン・ヨークビンセントはワイマールのジョークを無視してさらに続けた。

「もうひとつあるんです、先生が失踪した頃、あの家に住んでた人物」
「ほー、何かわかったのかい、でもよく不動産屋がそんなことまで
教えてくれたな」
「借家を探してるって伝えて、でも同居する彼女が病的な潔癖症で、
だから前の住人の様子などもできれば教えてほしいって言ったんですよ」
「へー、そんな理由でも教えてくれるんだ」
「いや、そんなことよりも、聞いてください、」

ヤン・ヨークビンセントはワイマールを正面に見据えて言った。

「先生が失踪した時にあの家に住んでいたのは、なんとスガイでしたよ」

ワイマールがその意味を呑み込めず目をパチクリしていると
ヤン・ヨークビンセントが続けた。

「あいつ、この2カ月の間に2回もあの家を借りてるんです」







「ヤン君、君の行動力には驚くよ」

ヤン・ヨークビンセントとワイマールはスガイの家の前に立っている。
確かに今朝早くにスガイは立ち退いたという。
部屋の中を見せて欲しいとお願いし少しのチップを払い不動産屋から
家の鍵を借りて来たのだ。


二人は家の中に入った。昨晩見た通りの玄関を抜け、廊下を挟んで
居間やキッチンが続く。この建物自体は17世紀からあると聞いていたが
内装は大部分が改装され近代的である。

「引越したあとだけど、人が生活していた痕跡はないですよね」
「まぁ一週間かそこらじゃ、こんなもんじゃないかね」

二人は全ての部屋の中を見て回った。

「これで部屋は全部見たと思うんだけど特に不審な点はないね」
「そうですね、バスルームやトイレも、ですね」
「家の中に何か手掛かりがあるかもしれないと思った発想は
鋭いんだけど、そううまくはいかないよヤン君」
「そうですね、スガイもそんなものを残すとは思えませんし」

と言い終える間もなく、バチッという音が奥の寝室から響いた。
その音に二人は飛び上がった。

「な、なんです、いまの音」
「びっくりしたな、何の音だ」
「寝室からでしたよね」
「うん、たぶん」
「ラップ現象?」
「や、やめろよ、そうでなくてもなんか出そうな古い家なんだから」

二人は及び腰になりながらそろそろと奥の寝室に向かった。
寝室の扉の前まで来た時今度はバチッ、バチッと間を置かずに2回鳴った。
先ほどよりも大きな音だ。

「わぎゃ」

ワイマールは腰が抜けてその場にへたり込んだ。
ヤン・ヨークビンセントも思わ後ずさったが、それでも勇気を振り絞って扉を
勢いよく開けた。

扉を開けると部屋の中には彼らが嗅いだことのない花の香りが立ち込めていた。
先ほど寝室を見て回った時には、もちろん匂いなどなかった。
ヤン・ヨークビンセントは鼻をひくひくさせながら部屋の中を凝視した。

部屋の奥の角のところに一人の男が座っている。
それを見たヤン・ヨークビンセントは凍りついた。
へたり込みながら、開いた扉の向こうを見ていたワイマールも男の存在に
気付いて、再び呻き声を上げた。
あれほど丹念に家の中を調べたのだ。それで当然手掛かりすら何も
見つからなかった。まして人が居るはずがない。
窓も内側から鍵が掛かっているし、玄関から入ったなら二人の前を
通らなければ寝室には行けない理屈だ。
つまり男は忽然と部屋の中に現れたのだ。

その男の横には大きなスーツケースが開いて置かれている。
開いたスーツケースの内側は機械の操作パネルのような装置が見える。
LEDのような光源もいくつか認められる。パネルは全体的に黒い艶のある
滑らかな表面だ。


その男は振り向いてワイマールとヤン・ヨークビンセントを見た。

「この匂いか?、キンメツゲの香りだ」

そう言った男の顔は菅井だった。





(続く)