2022/09/30

(No.2619): dewey delta(-f) になった噺 (痔瘻根治手術顛末記 第2話)

【手術当日】

6時起床、看護師さんが体温と血圧を測りに来ます。
・朝ごはんなし
・飲み物は7時まで
・6:30に再び座薬投入しての排便指示(しかし緊張のあまり座薬なしで排便完了)

手術後は翌朝までベッド上安静のため、足の血栓予防の圧着タイツを履きます。
また水分を多く摂る必要があり水ペットボトル数本や寝ながら飲むので
ストローなどを用意しておきます。
手術用のガウンタイプの寝巻に着替えます。手術時間が朝9時前後なので、
それまでベッドで過ごします。
緊張のあまり九字を切ります。


9時5分、看護師さんが呼びに来て、一緒に歩いて手術室へ向かいます。
ああついにこの時が来ました。どこにも逃げられません。
手術室は3階にあります。フロア全部が手術施設になっています。

手術施設メインエントランス横に着替えるスペースがありそこでパンツを脱ぎます。
そこへ手術専用看護師さんが現れて病棟看護師さんから引き継ぎが行われます。
頭にキャップを被り、手術用スリッパへと履き替えます。

病棟看護師さんが「それではまたあとで、がんばってくださいー」
的なニュアンスだったと思いますが緊張のあまり「ふぁふぁい」と返事をします。

自動ドアを入ると廊下の両サイドに手術室が並んでいて、
筆者の入る手術室のドアが開いています。
こちらへどうぞと促され部屋に入るとクラシック音楽が小さく流れていました。
天井には大きな手術用ライトが設置されています。
心電図やら何やらいろいろな器具機器があり、ドラマに出てくるような
本格的な手術室で緊張はMAXです。
そして言われるがまま、中央の手術台へあがって、先ずは仰向けになります。

執刀医の先生はまだいらっしゃらないようでしたが、5〜6人の看護師さんや
お医者さんがいました。
生理食塩水の点滴を左腕に刺したら、横向きになって下半身から背中まで裸状態になります。


麻酔は腰椎麻酔という下半身をまるっと麻痺させる強烈な麻酔です。
麻酔を打つために、横向きのまま頭と足を抱えて背骨を出すように丸くなります。
腰のあたりの背骨に強烈な痛みが走りピギャっと鳴いてビクッとしたら「動かないで!」と
一喝されました。

麻酔が入っていくと、すぐにうつぶせにさせられて足を少し広げます。
「足が温かくなってきましたか?」と聞かれる前に、
既に両足がぽかぽかと温かくなってきました。

左腕には点滴と指先にパルスオキシメーターを装着。
右腕には血圧計、背中には心電図用のコード。
自分の心臓の鼓動に合わせてピ・ピ・ピと信号音が響き始めます。
下半身に意識を移すと、まだなんとなく感覚はありますがジンジン痺れている感じ。

ベッドが少し高く動きお尻を突き出す感じの姿勢に。
いつのまにか執刀医の先生が来ていたのかお尻のあたりを診察してるような感触が
あり、そしてチクッと痛みが走りましたが、すぐにその感覚もなくなりました。
下半身は麻痺してますが、上半身と意識ははっきりしている状態です。

担当の手術専用看護師さんがいろいろ話しかけてくれます。
「もう手術始まってますよ、ご気分は?痛くないですか?」と聞いてきた。
あ、もう始まってたんか、「まったく痛くないです。何も感じません。す」


担当の手術専用看護師さんはうちわを持っています。
何に使うのだろうと思ってたら、尻側からジュジュジュとかボボボとか音がして
焦げ臭い匂いと煙があがってきました。それを看護師さんがうちわでぱたぱた扇いで
煙を分散させていました。
鰻屋か!
あとで知りましたが、神経を焼いて処置しているのだそうです。焼くってすごい。
ハイテク満載の手術室でもうちわで扇ぐんだ。オモロ。


手術は2名のお医者さんで行われていたようで、お二人で何やら会話しながら
執刀されていました。
正味の手術時間は20分くらいだったでしょうか。

「はい終わりました」と言われて、
ぐふぁー終わった。。痛くはなかったけど辛み万感でしたぁとごちながら
「え?お尻にガーゼとかある状態ですか?」と聞いたら、「はい。処置済みです」と。
下半身が何も感じないです。そして自分ではまったく動かすことができません。


看護師さんたちが筆者を仰向けにしてストレッチャーに移して、
ストレッチャーに寝たまま手術室から自分の病室へ運ばれます。
点滴は付けたままです。

嗚呼よくドラマとかでみるアレか、天井しか見えないけど、
ガラガラ運ばれていくのこんな感じなのか!と思いました。
病室の手前ではストレッチャーから自分のベッドへ移されて
ようやく病室へ戻ってきました。

手術直後この時点で、痛みはまったくないけど下半身はまったく動きません。
感覚がないので力が入らず動かせません。


そしてこのあと、翌朝まで新たな苦行のはじまりなのでした。
続きは第3話で。


2022/09/29

(No.2618): dewey delta(-f) になった噺 (痔瘻根治手術顛末記 第1話 )

9月18日の超電子COMPLEXではdewey delta(-f)として
筆者抜きのtairaさんとハッチャキさんで出演して頂きました。
なぜ筆者がライブに出られなかったのか。

実はライブの翌日19日は筆者が手術のために入院する日だったのです。
さすがに入院前日にライブはできないうえに、病院からの通告でコロナの関係上
入院前にライブハウスのような場所への出入りは禁止されていたからです。


さて、そも何の手術で入院することになったのかといえば、
それは痔瘻(じろう)であります。
痔瘻という病名を初めて聞く読者もいるかと思います。
「痔」という単語の通り痔の一種ですが、「いぼ痔」や「切れ痔」といった
いわゆる純然たる「痔」ではなく、どちらかというと感染症っぽい類の疾病です。

ググればどのような疾病かはすぐに出てきますが、簡単に言うと
肛門の内側にある肛門腺に細菌が感染して炎症が慢性化、
炎症が管となって皮膚を突き破って穴をあける症状です。
「皮膚を突き破る!」とか聞いただけで痛そうでしょ。
でも痔瘻が”完成”するとそれほど痛くなく、
むしろ痔瘻の前段階症状である肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)の方が
千倍痛いのです。
筆者も肛門周囲膿瘍→痔瘻というプロセスを辿り痔瘻が”完成”しました。
そんな痔瘻の根治治療は21世紀とはいえ外科手術しか方法がないのです。


筆者は日帰り手術は何度も経験をしているのですが入院は初めてです。
存分にビビりながら臨んだおよそ5日間の入院生活でありました。
手術前日、手術当日、手術後にわけてその状況と心情を3話に分けて記録します。

痔の手術なんて簡単だよ大丈夫ーなどと傍から励まされましたが、
あんた現実は聞くとやるとじゃ大違い、やっぱりそれなりの苦行でありました。
しかも、「痔」ではなくて「痔瘻」です。


以降は、痔瘻根治手術の生々しい表現が出てくるのでご注意ください。


【入院・手術前日】
入院したのは総合病院ではありますが肛門外科で有名な都内の大きな病院です。
筆者の病室は8階、6人部屋。当初は筆者入れて3人でしたが、
入退院で入れ替わり立ち代わり最後は満床になりました。
筆者の部屋はほとんど肛門外科の患者さんばかりでした。
22時消灯、6時起床。

事前に痔瘻手術入院のオリエンテーションを受けていましたが、入院日に看護師さんから、
麻酔のこと、手術内容や術後の過ごし方など改めて一通り説明を受けます。
腰椎麻酔という下半身麻酔で、手術当日は術後翌朝までベッドで安静が必要、
下半身が痺れて感覚がなくなりますがだんだん戻るので安心してください
と言われましたが一体どんな麻酔なのか恐怖に慄きます。

入院日は手術前日になります。前日と手術当日はいろいろやることが多いです。
・除毛(女性の看護師さんに電気シェーバでお尻の毛を剃ってもらう)
・排便(19時になったら長さ2cmほどの座薬を2個挿入)

座薬入れたら5分ほど我慢してから排便してと言われましたが、
2個なんて入んないよ、っていうか入れたけどぴょっと出てきちゃうし
そもそも5分も我慢できずにほぼ速攻で排便。
あの座薬、入れた刹那、肛門内でしゅわーっと発泡する感じですぐに液状になるのです。

夜ごはんは普通食でした。
術後の傷の治りを助ける飲料を渡されるので翌朝7時までに飲みます。
・21時以降禁食


緊張してほとんど眠れずそしていよいよ手術当日の朝を迎えます。
続きは第2話で。