2021/11/26

(No.2612): FT8の誘惑

聞くところによると、昨今は筆者のようにアマチュア無線にカムバックする人が多いとのこと。

筆者が高校生の時に電話級(今の4級)を取ってアマチュア無線をやり始めたのが1979年とか1980年頃。統計によると1980年代がアマチュア無線人口が一番多かったらしい。その後、携帯電話やインターネットの普及でだんだんと減り続けた。

1980年代に10代だった人がその後働き出して忙しくなり、または飽きてしまったりしてアマチュア無線をやめてしまったが、30〜40年後ここ最近またやり始めたという事例がとても多い。筆者もその中の一人。
カムバックの理由。仕事がひと段落したり、リタイヤする年代だったり、子供が成人したり、またはコロナ禍のステイホームから昔の趣味が再燃という方もいるだろう。

ちなみに筆者の場合はそのどれにも当てはまらない。
切っ掛けは、大掃除中、段ボール箱から昔の無線機が出て来て、おおお!今こそこれだよこれ!と1.3秒くらいで再燃した。人生って不思議。

 しかも、一旦火がついたら誰にも止められない。
だから今年の8月中旬、大雨の中、3級アマチュア無線・無線従事者国家試験を受け、40年ぶりに資格のステップアップを果たしたりもした。自分でも驚くべき行動力だ。
受験勉強なんぞそれこそ数十年ぶりだった。


筆者はなんだかんだで1990年くらいまでアマチュア無線は細々とやっていたので、約30年ぶりの復活ということになる。
実際、最初は浦島太郎だった。CQ誌(音楽業界でいうサンレコにあたる雑誌)を購読し始めて最近の状況やトレンドを貪り読む。ネットをググりまくる。

FT8という通信方式が大人気だという。
FT8とは無線設備とPCを使ったデジタル通信。特徴は弱小な設備でも、DX(遠い局、主に海外)との通信が出来ちゃうという。

無線で話して相手と通信する場合、もちろん受信した音声を自分の耳で聞いているわけだが、遠い局の弱い信号はノイズの中に埋もれてしまって聞き取れないことが多い。
FT8は人間が耳で聞く代わりにソフトウエアで受信音をデコードするという仕組みである。

つまり、音声(人の話声)ではなくデジタル信号を送り合い、無線機で受信した音声をソフトウエアで解析(デコード)して通信する。
だから、ノイズに埋もれた信号でもデコードさえできれば通信が可能となるという理屈で、弱小な設備でもDX局と交信ができるのだ。


どれどれと、筆者も環境を構築し、さっそくFT8なるものをやってみた。
(ちなみに、FT8をやる場合、総務省総合通信局へ届出が必要である)

18MHzで午後から夕方まで、ヨーロッパが入感。イタリア、ブルガリア、ハンガリー、フィンランドなどなど簡単にQSO(交信)できた。9000km以上も離れた場所へこんな貧弱なアンテナから電波が飛んでってるのか!ちょっと感動した。
何より、話さなくて良いので英語ができなくても問題ない。

いや問題だ。あまりにも楽しくてどんどん交信してしまう。ヨーロッパ諸国をはじめ南米、北米、オセアニア、アジア、ロシア方面など、電離層のコンディションにもよるのだが、普通にワッチしてても聞こえないのにFT8だと交信できてしまう。
しかも、QRZ.comサイトから今交信した人の住まいやらシャックやらが簡単に見れてしまう世界線。最高にパンクだ。FT8の誘惑はまだまだ続きそうだ。


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