2023/04/06

(No.2638): 床屋を訪なう。(死闘編)

今後そんなに書くこともなかろうと思ってはいたが
やはり書かずにはいられない床屋さん。

担当は久しぶりにこの大柄な店長さんと思しき方。

上記リンクで描かれてある通りの、
その雑駁なそれでいて力強い「手の圧」は変わっていなかった。
いや、前回以上に向上していた。


入店。

初っ端の髪の毛にシュッシュッと水を吹きかけた後の
頭髪をむしりあげるその手の圧といったら
首の骨を折られるのではないかという恐怖を通り越して
笑いが込み上げてくる。

知ってたけど何この強さ!両足踏ん張ってないと吹き飛ばされるぞ。

左右に張り倒されるのでそれぞれ逆側に力を入れて、
首を動かさないように努めるがどうかすると、タイミングが合わず、
自分の力で首ががくっと動いてしまい我慢できずに口角を上げてニヤつく。

「何笑うとる気持ち悪!なんじゃこの客?」という目で蔑まれる。


髪切り中はあまり手の圧の登場はないため特に笑いポイントはない。
安心だ。
わたしは無表情で淡々としている。
先ほどの笑い顔の失敗はこれで帳消しになったであろう。


さぁいよいよ洗髪だ。
ここから気を引き締めていないとまずいことになる。
案の定、大きな手でガッシュグワッシュと髪の毛を洗われる。
しかし大丈夫だ。
この程度は予想していたし、むしろ気持ちがいい。
口角は無表情を保っている。

いつも通り湯で襟を濡らしながら洗髪終わり。
濡れたタオルで顔をさっと一度拭いただけで上体を起こされるものだから
びちゃびちゃと雫が滴る。

しかし大丈夫だ。
この程度で口角を上げているようではこの店の客とは言えない。


さぁここからが勝負だ。
起こされた上体へ間髪入れずマッサージタイムに突入する。

頭部から首、肩へとズダンズダンズダンズダンと巨大な両手で
マッサージと称する手技の応酬を受ける。
けっして痛くはないのだが、、、いや今日は痛いぞ。痛い。
ちょ、痛いって!
そう思ったらマジで笑ってしまった。
笑いを隠そうと思わず下を向き、咳払いなどをして誤魔化した。

「何笑うとる気持ち悪!なんじゃこの客?」という雰囲気が漂う。


その後すぐに髭剃り。床屋椅子を倒されて仰向けに寝る姿勢。
シェービングフォームを付けた後、熱いタオルで顔を覆う。
最初は熱いがだんだん冷えてきて温かくて気持ちがいい。
良い塩梅だ。

良い塩梅だ。
うん。
うん。
うん?
まだか。まだなのか。
そろそろ取ってもらえますか。
もういいんじゃないでしょうか。
ねぇ。
親方どこに行った?

さっき入口ドアの音がしてたけど、外に行っちゃったのか?
おいおい。マジか。
人の顔にタオルかぶせたまま外行っちゃったのか?
だいぶ時間が経ってますよ。
顔のタオルも既に冷えてきました。
タオルの端もだらんと落ちちゃいました。
親方どこに行った?
人の顔にタオル乗せたままどっかいっちゃうなんて最高過ぎるでしょ。

ガチャランーとドアの音がして親方が戻ってこられて手も洗わず(洗う音が聞こえず)
そのままわたしのタオルをむしり取ります。
その下には、口角が最上級にあがっており目をつぶりながら笑ってるわたし。

「何笑うとる気持ち悪!なんじゃこの客?」という気配びんびんです。



いろいろありすぎて会計時お釣りをもらわずに出てしまい
「あー、釣り釣りー!」

と呼び止められました。


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