2024/04/05

(No.2660): 床屋を訪なう。(賛美編)

久々のこのシリーズだが、最近書かなくなったのは
くだんの床屋さんへ行かなくなったわけではない。
むしろ月2ペースで通い続けている。
今では顔を覚えられてしまったほどだ。

書かなかったのは特に記する事象がなかったからだ。
いや厳密にいえばこのシリーズで取り上げた数々の
エピソードは毎回のように発生していた。
しかし今では慣れてしまい口角があがることもだいぶ減った。

とはいえ先日訪なった際にちょっとした事象があったので
記録しておこうと思う。


平日の夕方時間帯に入店。
お客さんが混んでいて驚く。
普段この床屋さんで待つことはあまりないのだが
この日は1時間近く待った。
もう少しで閉店時間になってしまう頃合いで自分の番が来た。

担当は大柄な店長っぽい理容師さん。
早速蒸しタオルで頭をターバン巻きにするかと思ったら
今日は無造作に蒸しタオルを頭にボンッと乗せ
タオルで髪の毛を掴み、まるで蕎麦粉を捏ねるように
ぎゅうぎゅうぎゅうと頭を押さえつけるのだ。

痛ッ!何!?と思ったら今度は
タオルで耳を隠すようにしてから
両耳をタオルごしにぐぐぐぐぐと頭蓋骨を破壊するように
両手で押しつぶしてきた。
痛ッ!ぐは!
蒸しタオルで数分間待つ時間がもったいないとみての
時間短縮の技なのだと悟った

頭からタオルをはがすと同時にバリカンで
ビュギュービュビュビュギューイーンと
ものすごい勢いで刈り始めた。
な、なんちゅうスピードだ。
今までにない手早さ。
ハサミのターンになってもその速度は衰えず
腱鞘炎を心配するほどの素早い動き。
シャキシャキシャキシャキと
BPM170の32分ハイハットくらいの速さだ。

閉店時間がもう目の前なのだろう。
早くあがりたい!一心なのが手に取るようにわかる。
これはその後の洗髪・髭剃りは覚悟がいるなと思った。
そう思ったら久々に口角があがりそうになったのを
ふんッと堪えた。


案の定、洗髪はそうとう雑だった。
いや雑というか、作業速度がべらぼうに速いのだ。
制御が失われつつあり手の圧の力が半端ない。
これは命懸けだ。
シャンプーの飛び散り方もすごい。

洗髪後いつものように襟回りをびちょびちょにしながら
起き上がりしなマッサージタイムに突入、
ガーンガーンと頭部を殴打され、一瞬恐怖を覚えるも
文字通り命懸けだなと思ったらふふふと笑ってしまった。

筆者が笑ったことにも気づかず即座に椅子は倒され
髭剃りに移行。
以前、この理容師さんが蒸しタオルを筆者の顔に乗せたまま
5分ほど店の外に出て行ってしまい

帰ってくるまでじっと待っていたことがあったが、
この日は僅か10秒でタオルは解かれた。

ええ?!早ッ!と思ったら笑いがこみ上げてきた。
まずい。
顔面は正式に天井を向いており
何も隠せないあらわな姿のままなのだった。
しかも理容師さんもこちらを見ているこの状況で
口角があがるのは 大変まずい。

ににんがし、にさんがろく、にしがはち
と九九を唱えてなんとかギリギリ持ち堪え
髭剃りも終わった。

そして最後に顔にクリームを塗られたとき
次の試練がやって来た。

急いで雑に塗るもんだから
鼻の片穴にクリームがスンッと入った。
おうふ!
クリーム塗った後、乾いたタオルで
顔を一回拭かれるのがお決まりのコースなので
タオルでうまく拭いてくれるのが一縷の望みだ。
果たして顔を覆ったタオルの端に
鼻穴のクリームがうまいことくっついて取れてくれた。
うおー、やったすごい!
と思ったら笑いの決壊が崩壊した。

完全にぐへへへと笑った状態で椅子が起こされたので
ヤバい!と思わず下を向いていたら、
ぐいッと顔を正面に向かせられた。

鏡に映った筆者の顔は口が波になっていた。



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