2025/07/11

(No.2679): SHURE Beta58A-J 真贋への道のり (その2 SHURE公式からの真贋結果追記版 2025/7/30追記)

前回のあらすじ
狐につままれた心持で極端に安いSHURE Beta58Aを
某フリマサイトのSHOPから買ってしまった筆者は
贋作の証拠である外箱のおかしな日本語を発見し
己の不甲斐なさに戒めのため正規代理店から
正規品(本物)を即購入した。



本物が手元に来たので比較検証してみた。

結論から言おう。
本物のSHURE Beta58A-Jと比較すると
明らかに違う箇所がいくつもあった。

※ご注意※
ただし、偽物にも様々な仕様があるようで
今回紹介する違いが「必ず偽物である証拠」
ではないことを付け加えておきます。



箱の日本語
これはご覧の通りもう言わずもがな。
上:本物
下:偽物




マイク全体の形
あまりにも違うので驚いた。
偽物は若干短い。
写真だと分かりにくいが本物は本体の色が青みがかっている。
偽物のほうが銀色っぽい。
箱の色も違うね。
マイクケースの質感も違う。
左:本物
右:偽物




ウインドスクリーン
これは網目の形が違う。全体の形も微妙に異なる。
それと青いリングの太さも本物の方が水色部分が若干広い。
左:本物
右:偽物



マイク・カートリッジ上面
スポンジの密度が雲泥の差。
本物はぎっしり感だが、偽物は透けて奥が少し見える。
トップの部品の品質が本物はしっかりして艶あり。
偽物はくすんでいて汚い。
左:本物
右:偽物




マイク・カートリッジ本体
本物はしっかり作られており精度が高く触っても動かない。
偽物は明らかに適当感あり、だいたい曲がってるじゃん。

配線材が偽物は太い、という情報もあったが
筆者の偽物は本物と同じに見えた。

カートリッジの上部に小さな突起がある。
ネット情報でこの突起の有無が真贋見極め箇所の一つ
となっており突起は本物にしかないという。
しかし筆者の偽物にもその突起はあった。
ただ本物と比較すると突起の大きさが異なる。
本物の方が若干小さい。
上:本物
下:偽物




CEマーク
CEマークも本物にしかない、という情報もあるが
どちらにもあった。
(写真が少しぼけてしまった)
左:本物
右:偽物



XLRコネクタ部
ピンの結線状況については前回(その1)でも綴った通り。
ピンの金メッキは同じ。
違うのはXLRコネクタの切り込みの形。
本物は四角形だが偽物は半円。

そして決定的に違うのが製造国表記。

ここで不思議な疑問が立ち上がってきた。
ネット情報では本物は
MADE IN MEXICO
偽物は中国製というのだ。

ところがご覧の通り
本物は
MADE IN CHINA
偽物が
MADE IN MEXICO
という表記になっている。

上:本物
下:偽物



この表記に関して現在SHUREへ確認中。
状況判明次第この文章を更新します。
(7/30追記)
※SHURE公式から回答を頂いたので以下に追記します※
以下 原文ママ



ということで
本物という確認を頂きました!
本物のSHURE Beta58A-J は「MADE IN CHINA」です。



重さ
カタログでは278gだが
本物266g
偽物238g
※この計り機械が古いため誤差ある可能性あり
上:本物
下:偽物





音質
一番肝心な音の部分であるが
比較して注意深く聴くとおそらく本物は少し太い音で、
偽物よりは芯のある音なのではないか、と思う。

恥ずかしながら筆者ごときの耳では
その程度の違いしかわからなかった。
たしかにマイクカートリッジの適当な作りを見れば
音も想像がつくだろうに、情けない話である。

それだけ偽物がよくできているというのだろうか。
だがおそらく使い続けていくと
偽物は化けの皮が剝がれていくのだと思う。

(7/30追記)
改めて比べてみた。
偽物の方は高域がキツく感じる。
これは当初はすっきりした音だなと思ったが
本物と比較すると中域が明らかに細く感じる。
完全に偽物と判明したためバイアスは否めないが。


付属のマイクホルダー
本物は堅牢だった。
マイクの自重でもまったく動じない。
当たり前のSHURE製。


そして最後に「匂い」
本物はまったく臭くない。
むしろ電子部品のいい香りがする。
これでなきゃ。



(7/30追記)
既にライブでも使用し、その指向性の高さ
及び声の乗りや押し出し感が気に入った。
そして電子部品の香りがやる気にさせる。


Fin

(No.2678): SHURE Beta58A-J 真贋への道のり (その1)

 筆者はライブでSHUREのヘッドセットマイクを使っている。
最近声の乗り?が悪く感じることがあって
コンプやEQで調整していた。
どうやらマイクカートリッジの経年劣化による変化らしい。
同様のモデルに買い換えようとしたが、
どうせなら制作でも使えるダイナミックマイクを買おう。
楽器用のSHURE SM57は数本所有しているが
ボーカル用マイクは持ってない。
(自宅での歌録りはSM57にポップガードを立てて
レコーディングしている)

ヘッドセットは両手が空くし便利だけど
いっそライブではスタンドマイクにしてみようか。
うん、いいじゃないか。
どうせなら指向性の高いちゃんとしたマイクにしよう。

dewey deltaでもCiiFaでも
ライブでは自分の歌をエフェクト処理しているから
マイク出力を直接PAさんへ渡していない。
自分のシステムへ取り込んでからPAさんへ送っている。
なのでこの際マイ・マイク持参で。


そんなこんなでマイク市場を物色する。
やはり王道、万能なSHURE SM58系で
指向性も高いSHURE Beta58Aが良さそうだ。
ちょっと高いけど。

値段に張り倒されながら
いつしかメ〇カリへ物色の範囲は広がっていった。
「新品、未開封 6000円」
という実勢価格のほぼ1/4という安価のBeta58Aを
メル〇リSHOPで発見し、狐につままれたように
ふらふらと買ってしまった。
無知の極みであはるが
SHOP登録店だから大丈夫だろうと漠然と思った。

しばらくして我に返り、
値段がおかし過ぎることに疑い始めた。
そこから情報を調べまくった。
買ってから調べても後の祭りではある。
メ〇かリSHOPで売られている安価なBeta58Aは
全部偽物!という記事が大量にヒット。

数日後商品が届いた。
さっそく真贋検査だ。
参考にさせていただいたサイト
(ありがとうございます)

下手こいたぁ~!! ♯1

2405 :危険なブランドマイク偽物の常態化について

BETA58A の偽物をゲット


この時点で比較する「本物」が手元になかったので
上記の記事や他のネット情報だけで調べてみた。
購入したこのマイク、
実は記事にある本物の仕様に近いブツだった。
箱の中身内容物も本物と同じだったし。
XLRの1番と3番ピンもテスターで通電していないことを確認した。
なので「限りなく本物に近い」・・


しかし気になった点もある。
一つは「匂い」だ。
もう一つは付属のマイクホルダー。
なんたって臭いのだ、このマイク。
工業的な匂いは嫌いではないが
これはひどいビニール臭で鼻をつく悪臭だ。
SHUREのマイクがこんなに臭いはずがない!
マイクホルダーはネジを締めてもマイクの重さで
動いてしまうという粗悪品。

あと肝心の音。
実はそんなに悪くはなかった。
少し高域よりに感じたが音自体は悪い印象はない。
むしろ現状のヘッドセットよりすっきりとした音質だった。
痩せた音といえばそうも言えるが。

うーん、わかんないなー、本物かなー、
臭いけど。
あ、そうだ、箱の外側の日本語を確認してなかったっけ。


ボーカル マイクホソ
リードボーカルに最適を高精度マイクモホソ

マイクモホソ! 
モホソは偽物だ!
モホソ言うてる場合か。


安いからといって何てものを買ってしまったのか
猛省につぐ猛省。
自分への戒めも含め、
僕らのサウンドハウス様にて
ちゃんとした本物の「SHURE Beta58A-J」
しかも「J」という正統な日本仕様を
何の躊躇もなくもはや責務と覚え即購入。

比較対象の本物を買ったので
この「限りなく本物に近い」贋作と比較してみる。


(その2)へ続く