2024/06/19

(No.2663): dewey delta ライブモニター環境


過日、dewey deltaライブにおけるモニター環境についてお届けしたが
セッティングで使用するケーブル類が煩雑化して
モニター環境の組み立て時間に支障をきたしはじめたので以下のシステムへ刷新した。

ベリンガー P16-M POWERPLAYP16-I POWERPLAYを使ったモニターシステムだ。
P16-MとP16-Iの組み合わせはライブステージでの演奏者向けモニター環境を提供する。
モニターしたい音源ソースをマスターユニットであるP16-Iへ接続し、
P16-Iから各演者へキューボックスであるP16-Mへ伝送する仕組みだ。



P16-M

P16-Mは16chのデジタルステレオミキサーで、
いわゆるキューボックスの役割となる。
dewey deltaではメンバー3人にそれぞれ一台ずつ配し
各自自分好みのモニターしやすいサウンドを調整している。
全チャンネルにLED表示のあるレベル、パン、3バンドEQ、ソロ、ミュート機能を備え、
隣接する2つのチャンネルをステレオペアとして設定することも可能だ。
マスターセクションではリミッターを搭載しており
大音量のモニター音を抑えることができる。
これら各種設定は保存可能で16個のプリセットとして呼び出すことができる。
また、パワードモニタースピーカーなどへの外部出力や
外部MIDI機器からリモート操作できるインターフェイスも備えている。

特筆すべきはP16-Iから電源が供給でき、P16-Iとの接続は
CAT-5eケーブル(LAN線)1本で済むことである。
この仕様はライブセッティングにおける作業時間の短縮に貢献している。




P16-I

P16-Iは1Uサイズの筐体で16chのアナログ入力とADAT入力を備え、
最大6台のP16-Mと接続可能。
P16-Mへの16ch信号はULTRANETネットワークのCAT-5eケーブルで伝送する。

アナログ入力は標準フォンのバランス仕様だ。
入力ゲインは-10dBV、0dBu、+4dBu、+22dBuの切り替えが可能で、
コンシューマー機器からプロ音響機器まで広く対応している。
AD変換は24bit、44.1/48KHzでありモニターするうえでは問題ない音質だ。
デジタル入力はオプティカルが2系統あり、
フォーマットはADAT 8チャンネル、16、20、24bit、44.1/48KHzに対応している。

ベリンガーP16-M、P16-Iの価格帯はとてもリーズナブルだ。
機能と品質の差はあるものの同様の製品として
AVIOM A-16、AN-16i と比較するとP16-M、P16-Iは1/2~1/5の価格だ。


現在までライブハウス現場で使用を重ねてきており
特に問題となることはなく快適なモニター環境を運用できているが、
運用にあたって気を付けておきたい2点を挙げておく。

① P16-M、P16-Iを接続するCAT-5eケーブルのコネクタ部分
ケーブルを挿したままケーブルを触るとコネクタ部がぐらつくため、
破損しないように慎重に取り扱いたい。

② P16-Mの電源供給時の挙動
P16-Mの電源をオンにしても、親機であるP16-Iの電源がオンにならなければ
P16-M経由で音のモニターはできない。当然のことだが、演者各人の出音確認が
重要となるステージ上のサウンドチェック時においては
親機の電源オンを最優先に行いたい。


最後にdewey deltaライブでのP16-M、P16-I使用方法をご紹介する。
ステージ上手側(エフオピ)、下手側(taira)、ドラム(ハッチャキ)の
それぞれの出音をPA渡しとは別にモニター用に分割しP16-Iへアナログ接続している。

エフオピ、tairaはオーディオインターフェイスのヘッドフォンアウトを、
ハッチャキのエレドラ出力は先の記事にあったdelta箱と呼ばれる
自作のスプリッターで出音を分割している。
内訳はエフオピはメイン出力L-Rの他にクリック、tairaはメイン出力L-R、
ハッチャキはエレドラのメイン出力L-Rの合計7チャンネルだ。

P16-Mでは各メイン出力はステレオペアを組み、
各演者の音+クリックをミックス調整し演奏しやすいモニター音を作っている。
従ってライブ中演者はイヤフォンまたはヘッドフォンを着用しているため
ステージ上のモニタースピーカーは切るか、音を小さめにしてもらっている。

P16-M、P16-Iは我々のような演者側が手軽にモニター環境を実現できる製品だ。




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