2022/11/16

(No.2624): dewey deltaライブ 楽屋話(テクニカル編 第2回)

 dewey deltaライブでのテクニカル楽屋話 第2回 モニターの噺の続き

第1回はこちら

1.3つ股Y字ケーブルの是非

dewey deltaステージモニター環境・バージョン2(第1回参照)は
メンバーの評判も上々である。
しかし、筆者はひとつ気掛かりなことがあった。
すべてのソース音源(上手側の音、下手側の音、クリック)の
3分配という一番重要な機能を安価な3つ股Y字ケーブルで済ませていたことだ。

とはいえ現状、まったく問題はでていない。
しかもtairaさんが予備まで準備しているので万が一断線等になっても、
取り替えればすむことだ。

そうさ、何も問題はないんだ。ぼくはだいじょうぶだ。
スーパーの帰りであろうマイバッグを肩掛けし、
小雨の中を傘をさして家路へと急ぐ母子の後ろ姿を
喫茶店の曇りガラス越しに、ぼくは虚ろに眺めながらひとりごちた。



2.スプリッターを探して

古今東西の音響現場における音源の分配方式について書物を紐解く(ググる)。
どこをどう探しても3つ股Y字ケーブル推し記事にはお目にかからない。
百歩譲って2つまでの分岐だ。
一般的にはスプリッターという機材で音を分配する。

そこで市販されているスプリッター機器を調べた。
調べるにあたっては以下の要件とした。
・ 1入力3出力(多くても少なくてもだめ)
・ ステレオ回線で入出力できる
・ パッシブ動作であること(電源不要)
・ なるべく余計な機能はない単純なスプリッター機能のみ
・ 小型
・ 安価

スプリッターはあまり一般的ではなくどちらかといえば
プロの音響現場で使用されることが多いため、
価格もそれなりであるうえに高機能な製品が多い。
まずもってパッシブとステレオで1入力3出力という要件が厳しい。
もっとコンシューマーチックな製品はないものか、、

と調べていたら、ほぼ上記要件を概ね満たす製品を見つけた。
ミキサー機能も付いているが4出力以外はこちらの要件に適っている。
実売価格は6千円代。見た目も格好良いしまずまずといったところ。
我々のモニター構成としてはこの機材が3台必要になるのだが
もうこれで決めてしまおうとメンバーへのネゴシエーションを始めた。


3.スプリッターを作る?!

今使っている3つ股Y字ケーブルは、電子回路なんかなくて
単純にコードを3つに繋げているだけだよな。
という疑問を持ったので、そもそもスプリッターの回路は
どうなっているのかと興味が湧いてきて書物を紐解いた(ググった)。

一般的なスプリッター機器には概ねアンプ回路が内蔵されている。
これはFETやオペアンプICなど半導体で信号増幅させるので電源が必要だ。
また、インピーダンス変換(インピーダンスが大きく異なる機材同士
を繋げる、例えばギターをエフェクターに繋げる等)機能が
ある場合はトランスが組み込まれていたりする。

筆者の要件はパッシブ回路なので電源がない。
従ってアンプ等は組み込めない。
そもそも目的は信号増幅ではなく、あくまでも単純に音を
3分岐させたいだけなのでパッシブで十分。
というか、何故パッシブ要件かというと、ライブ機材にこれ以上
電源類を増やしたくないからだ。
また接続するソースも全てラインレベルで概ね同じインピーダンスだから
トランスも不要。

そんななか、ダイレクトアウト出力を持つスプリッターの回路図を見たら
案の定、入力信号を単純に分岐させてそのまま出力となっているものを見つけた。
だよなー、3分岐程度ならそのまま分けるだけでいいんじゃん。

その回路図を見た瞬間、スプリッター作るかッというモードに突入したのだった。


4.dewey delta パッシブ・スプリッター製作

回路は単純明快だ。
入力1系統を出力3系統へ分岐させるだけ。
名付けて「dewey delta パッシブ・スプリッター」
dewey deltaライブではこのスプリッターを3台使用するので3台作る。
2台は上手システム音と下手システム音用としてTRSフォンのステレオ仕様、
1台はクリック用としてTSフォンのモノラル仕様とした。

回路図は以下の通り。
※TRSフォン仕様のステレオ仕様の回路図


部品発注は全て「秋月電子」さんにて通販した。便利だ。
ノイズ対策+ライブ使用なのでケースは金属製とした。
数十年ぶりに金属ケースの穴開け作業。
結線用ケーブルは音響用の2芯シールドケーブルを、
はんだはオーディオ用の銀含有はんだにしてみた。






上記製作過程は既にTwitterで公開しているので詳細は省略する。
ひと言。穴あけムズイ。

単体テストでは音質も問題なく良好だった。
ちなみに製作コストは、部品代だけでART SPLIT Mix 4 1台の価格よりも
安価であった。

っていうか、電子工作楽しい。


5.バージョン3モニター環境(テスト未)

いよいよバージョン3モニター環境(下図参照)の稼働である。
3つ股Y字ケーブルの代わりに、
dewey deltaパッシブ・スプリッターを導入した布陣。
まずはスタジオ練習にて動作確認テストを実施予定。





そこで問題なければ
12/9 「Broken Transmission」@新宿WildSide Tokyo
にて現場実践だの。

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番宣かよ









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