2017/06/16

(No.2529): M O M概論(導入編)


筆者は大学1年だった1981年、YMO/BGMとKraftWerk/ComputerWorldをリアルタイムで聴いて何じゃこりゃとゴロゴロとこちら側に転がり込んだのが最初。
転がり込みながらカセットデッキ2台でピンポン録音を編み出し、バイトで買ったカシオトーンとDR55のみでミュージックコンクレート風はちゃめちゃ音楽を作り始めた。
それから約20年はYMOやKraftwerkの呪縛から逃れられなかった。いや呪縛から逃れられなかったという言い方は正確ではなく、20年の間、「BGM」や「テクノデリック」や「コンピュータワールド」を凌ぐ筆者嗜好の音楽に出会えなかったということだ。

特に90年代は新しい音楽をほとんど聴かなかった。外界情報をほぼ遮断し、部屋に閉じこもっては自分の音楽のみを創っていたからだ。

21世紀になって再びバンド活動などを行い始めた時、遅れて90年代の音楽について情報が入り始めた。
いわゆるクラブカルチャーにまつわる例えば、The Chemical Brothers、Aphex Twin、Underworld、あるいはAutechreといった、今では大御所となってしまった方々の音楽をこのタイミングで聴いた。

当時筆者がやっていたstereogimmikというユニットはクラブでのライブオファーが多かったので、深夜オーディエンスのゆらゆら動く踊りの中、重低音で強力なミニマルが爆音で流れるガチのテクノをよく聴いた。いや浴びた。

そんな折、mouse on marsを聴いた。
細野さんもライナーノートで書いているが、最初はかわいいことしているという印象だけだった。一聴しただけではその凄さがわからなかった。盤を重ねて聴いてゆくと、そのとてつもない発想と音像と音響にいつのまにか虜になってしまうのだった。そして気がつくとYMOやKraftwerkの呪縛から解き放たれていた。

mouse on marsは筆者の音楽嗜好のど真ん中である。しかも年々、その技とアイデアは「凄さ」を増してゆく。

キチっとしたものよりも、杓子定規でない非正確な、その昔筆者がカセットデッキ2台でピンポン録音していたときのような偶発性に富んだ音。そんな音楽が筆者は好きだ。

http://www.mouseonmars.com

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