2015/10/12

(No.2393): だからdeweyでは裏の部分を担当している


筆者の現在一番のお気に入りは「mouse on mars」である。









もうかれこれ13年くらいは筆者嗜好第1位の存在だ。もっとも1990年代に知っていればその時点で好きになっていただろうことは想像に難くない。初めてmouse on marsを聴いたのがたぶん2002年くらいだった。

余談だが90年代はほとんど新しい音楽を聴かない鎖国状態だった。意識して聴かなかったわけではなかったが当時流行っていたテクノ系音楽に興味が湧かなかったのだ。筆者の90年代は、80年代初頭の大学時代に洗礼を受けた過ぎ去ったテクノばかりを懐古趣味の如く繰り返し聴いていた。加えてスタジオに篭って、ひたすら曲を作ってレコーディングしていた時期でもあった。
ちょうどアナログMTRからデジタルMTRに変わる過渡期であり、筆者もハーフインチの8TR-MTRからRolandVS880、そしてCubaseVSTへと遷移した10年だった。


えーと何の話だっけ。mouse on marsだった。
話を戻す。

mouse on marsの何が筆者の琴線を弾いたかと言えば、大きく三つある。
一つは、「サウンド」だ。広義の意味で鳴っている音一つ一つの音色というか音像。稚拙な言い方をすれば「今まで聴いたことがない音」が満載なのだ。「今まで聴いたことがないと思わせるほどの音」と言い換えてもいい。

もう一つは「楽曲の構造」である。電子音楽だから打ち込み的な要素ももちろんあるのだが、どちらかといえばリアルタイム性を重視していると思われる構造をしている。YouTubeで見られるFACTの動画のように、リアルタイムで楽曲を制作しているのではないか、





あるいは、それらを素材として後で楽曲を組み上げるといった技法なのではないかと思う。そういった、一期一会的なサウンド変化を楽曲として組み立てる感性がずば抜けて素晴らしい。

最後の一つは「サウンドエンジニアリング」だ。
埋もれてしまっている音ですらその埋もれている事自体の存在をわからせてしまうようなサウンドトリートメント。どういうことかというと、つまり、電子音の多いトラックではありがちな多層レイヤーによる帯域の団子状態といった「素人」な音造りは一切ない。
レーベルの品質を考えればそんなことは当たり前じゃないかと思うだろうが、変態電子音満載のケースはこれがなかなか困難を極める。これは当然、mouse on marsの両名はもちろんのこと、エンジニア氏の音響技術力も高いということだ。
ライブではその音がリアルタイムで生で聴ける場である。だからmouse on marsの来日ライブはほぼ見ている。





2012 taico club
上手側前方で踊り狂ってた。僕

このとき、ヤンとアンディとドドとお話ししてサインもろた。




筆者は、楽曲のメロディよりもその楽曲を構成しているサウンドに惹かれる。甘いメロディよりも、LFOで崩れた怪しいノイズ音の方が好きだ。
だからdeweyでは主に楽曲の裏の部分を担当している。

筆者のサウンド重視志向というのはYMO(BGM/テクノデリック)やkraftwerkから影響されたものである。YMOもkraftwerkも美しく格好良いメロディがあるが、筆者の耳はどうしても「音の鳴り立ち」に行ってしまう。




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