2017/09/12

(No.2543): 今は昔のテーな物語(其の壱)


テクノやってるのに同期できずほとんど手弾きだった1983〜4年。
貧乏大学生では満足な機材も買えなかったが、某球場整理員と運送屋のバイトで貯めた金でどうにかTASCAM234と同じくTASCAM 106 6chミキサーを購入。
TASCAM234は4トラックのカセットMTR。







楽器はカシオトーンMT60と壊れて正しく打ち込めないBoss DR-55のみ。






自動演奏はDR55のリズムボックスからのチャカポコ音とMT60の内蔵リズムくらい。エフェクターは唯一キットで自作したフェイザー一つ。

それでもそれまではカセットデッキ2台のピンポン録音だったから、「ちゃんとした機材」としての4トラックのカセットMTRは天国のようだった。
だってちゃんと「多重録音」できる!
たった4つのトラックだけど僕らには広大なキャンバスだった。
Tr1 リズムボックス、Tr2 ベース これをミックスしてTr3へトラックダウン。Tr4 シンセ1 Tr1 シンセ2 を録音。これらあとで右に振るからまとめてTr2へミックス、Tr1 シンセ3 録音したら、Tr4に歌を録音。
あーすごいなー夢のようだ。


その後もバイトしまくってBoss DR110とRoland SH101を購入。SH101は128音の”デジタル”シーケンサーを内蔵していた。





(このSH101は実機。今でも所有。この写真も今撮影したものだよ)


シーケンサーというはじめての自動演奏体験に興奮した。そして念願のドラムマシンとの同期もできた。

DR110にはトリガーアウトがあって、アクセントを打ち込んだタイミングでトリガーパルスを出力し、それをSH101のトリガーINで受けられたのだ。
YMO/BGMの「バレエ」のイントロなんかを再現して悦に入っていた。

しかし、しばらくすると少し不満がもやもやと。
その原因はシーケンサの記録できる音数が少ない・・・・、ではなく、”複数パートの同期”ができないことだった。つまりDR110ドラム+SH101シーケンスを録音してしまうと、その録音した音に新たに同期演奏ができないのである。

つまりこういうことだ。
最初はDR110がマスターとなりSH101をスレーブとして同期し、ドラム音とSH101音をMTRに録音する。で、次に別のシーケンスを録音しようと思ったら、そのドラム音とSH101音に同期してシンセを発音させなければならない。
しかし!、録音した音とSH101を同期する方法がない!
であるからして、自動演奏できるのは曲中一つのパートのみであり、残りは全て手弾き演奏するしかないのだった。
嗚呼、でもいろんなシーケンスをたくさん録音したいじゃん。でもそれができないのよ。だってもう同期できないんだもん。

なんとかならんかなー、
今度はその録音した音をマスターとし、つまりMTRをマスターとしSH101をスレーブ同期させたいのだよ。

1984年当時SMPTEがもう話題として出ていたか忘れたがサンレコ誌によるとテープシンクするには一つのトラックにタイムコードを録音し、それを元にして同期運転させるのだという。そんなのRoland MC-4とかプロの使う機材ならできるんでしょうが僕たちのチープな機材じゃぜんぜんできっこないっす無理。

しかし、そこをなんとかできないものかと研究に研究を重ねた結果(うそ)、不安定ながらもテープシンクと呼べるようなやりかたを発見したのである。(ドヤ)
とは言え、今思えば実際ベタな方法なのだが。。。
その方法とはDR110のトリガー信号自体をMTRの1トラックに録音するだけなのだ。で、その録音したトリガー信号のトラックのみを個別に出力し、SH101のトリガーINに入れる。
このとき録音レベルをかなり大きくして録音していないとうまく同期できないこともわかった。

SH101のシーケンサをスレーブスタートし、MTRを再生させるとSH101が録音済みテープの音に同期して発音した。
もうね感動したよね。ほんとに。

今は昔の物語。





ちなみに、それから数年後ハーフインチの8TrMTRにグレードアップしたときには普通にSMPTEを使うようになっていた。



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