2022/11/15

(No.2623): dewey deltaライブ 楽屋話(テクニカル編 第1回)

dewey deltaライブでのテクニカル楽屋話
第1回は モニターの噺。


1.モニターとは

モニターとはステージで演者が自分たちの演奏音を聴く仕組みの事。


通常ライブハウスなどのステージには、演者が演奏音を聴くための
コロガシと呼ばれるステージ床に配置するスピーカーや、
上・下手隅にスタンドで立てるスピーカーなどがある。

dewey deltaライブでのステージ上モニターは
dewey時代から自前のモニター環境を使用している。
自前とは、上述のライブハウス側のモニター環境は概ね使用せず、
自分たちの機材でモニター環境を構築していること。
何故自前なのかについては長くなるので別の話し。


2.モニターで何を聴いているの?

さて、モニターというのは演者が演奏音を聴く仕組みであるが
いったい何をモニターしているのか。
dewey deltaライブは以下の音をモニターしている。
・ 上手側システム(エフオピ)からの音
・ 下手側システム(taira)からの音
・ クリック

これらをミックスした音をメンバー3人がモニターしている。
お客様がお聴きになっているライブハウスPAからの音に
クリックが足されている状態と思われるかもしれないが
実際は音のバランスはPA出力とは微妙に異なる。

なお、現在(2022年10月)のモニター環境はバージョン2である。
バージョン1の欠点を補う形で再構築した。


3.クリック

dewey deltaになってからモニターには特にクリックが必須となった。
dewey時代からもクリックは使用していたが、
deltaではハッチャキさんのドラム演奏のガイドとして必須の存在となった。

以前はクリック用トラックを曲ごとに作成していたが、
現在はAbletonLiveに備わっているメトロノーム機能をそのまま使用している。
クリック音をPAへ出さないために、オーディオインターフェイス
(Universal Audio Apollo系)の機能でメインアウト以外の出力から
クリック音のみを出力している。

4.バージョン1モニター環境とは

dewey delta始動時からしばらく続けていたバージョン1モニター環境。
仕組みは以下の通りである。

筆者の手元にモニター用のミキサーを置き、
上手(筆者)の音と下手(tairaさん)の音そしてクリックを入力し、
そのミックスした音をヘッドフォンディストリビュータへ渡し、
そこからメンバー3人へモニター音を分配していた。

つまり、筆者の手元ミキサーでのミックス具合を演者が
モニターしているという状態であった。(図1参照)

図1


この場合、ハッチャキさんから「クリックを大きく」とのリクエストで
クリックの音量を上げると、バックトラックや自分の演奏がクリックで
スポイルされてしまったり、あるいは
バックトラックや自分の演奏音をちゃんと確認したいと思って
筆者の音を上げ過ぎると今度はtairaさん音やクリックが埋没してしまう
といった各演者の良バランスのモニターが難しくなる欠点があった。

このデメリットをなんとか解消したいと思い、
新しいモニター環境を考案したのがバージョン2だ。


5.バージョン2モニター環境とは

キューボックスというのがある。
簡単に言うと主にレコーディングで使用される演者用のモニター用のミキサーだ。
演奏者が演奏しやすいようにオケや自分の音のモニターバランスを
自分で調整できる環境だ。

バージョン1のデメリットを解消するためには、これしかない。
メンバーそれぞれに自分にあったモニターバランスを提供するしかない。
つまりキューボックスをメンバー全員が持つのだ。

そこで考案したのが図2の仕組みだ。

図2

メンバー全員に小型のミキサーを配置。
それぞれのミキサーに上手音、下手音、クリックを入力し、
自分の演奏しやすいバランスを自分でミックスする。
ミキサーのヘッドフォン出力からイヤモニやヘッドフォンでモニターする
といった構成である。

この仕組みの肝は全てのソース音源を3つに分配するところである。
その場合通常はスプリッター(ミキサーとは逆の機能)で一つの
音源を分けるのだが、コスト面で折り合いがつかず、
超安価な中華製3つ股ステレオフォンケーブルなるもので対応した。

意外にもこの製品は優秀でモニターにおける音質劣化もなく
思惑通りに機能してくれた。

実際この構成で数回ライブをおこなった。
手元でモニターバランスを調整できるのはとても演奏しやすい。
ライブへの没入感にも通じ、総じてライブの質も高めている。(と思う)
メンバーの評価も高い。

これでモニター環境はひとまず完了となった。


6.バージョン3モニター環境へと続く

実は筆者は気になっていた。
システムの肝である3つ股ケーブルの耐久性はどうなのだろうかと。
tairaさんは「そのときのために予備を買いました」と。
思わず泣けた。

3分配するところが重要ならやはりそこは正式なスプリッターを導入
すべきではないのか。
スプリッターだ。それしかない。


テクニカル編 第2回へ続く


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