2008/05/27

(No.468): 大地に叶う



探査機フェニックス撮影の火星の地表。
隣の星の地面。
フェニックスの足元。



何億年かかって初めて人工的なものに
土を蹴られたという地面。

いかばかりか。

ほんの、ほんとうに局所の局所。
地球のどこかの土地にでもありそうな普通の地面。
小石なのか氷の粒なのかわからないが
何の感慨もない平らな地面。



あの普遍な大地を見て真の感動を覚えた者が
果たしているのだろうか。

鳥肌が立つ。

全てが現実であるということの真の意味を
理解したとたん、
突飛な心は地球を離れて遥か何百光年先へと旅を始める。

それは人類という生物に組み込まれた塩基配列の
根底に潜む、この世界創造における一つの問である。
むしろ、旅人は己の愚考と葛藤を怯まずに雄雄しく、
しかし謙虚さを持して大河へと身を任せる。
ともすると、松明を翳す孔雀のように。
ともすると、繁縷を食む鰈のように。



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