2015/07/14

(No.2361): 灼熱の楽園(第三話 時間は相対的であるの巻)


移動している物体は静止している物体よりも時間がゆっくり進むので、我が六級改号別名 "DUCATI M696" に跨り朝の路を駆るこの炎天下猛暑を。
もうこの暑さネタは拙屑ブログでは既に100回以上書き記されている通り、真上から夏の太陽の直射日光にじりじりと焼かれ、その大気の外気温35度にアスファルト輻射熱を加え、さらに股下には油温レベル4にまで上昇した空冷二気筒デスモドロミックエンジンの破壊的な熱線により駆る人をして灼熱のパラダイスへ誘おう、さあ我に続き賜え、灼熱の楽園へ、さぁ我と供に、股下の極熱の境地へ、さぁ我とt、
ここで記憶が途切れた。


移動している物体は静止している物体よりも時間がゆっくり進むので、なおさら駆る人の時間はゆっくり進み、そのぶん暑いという論旨になる。

移動している物体は静止している物体よりも時間がゆっくり進むという事象は、お伽噺などではなく、光速不変という前提に立ったこの三千世界の真実なのである。
そんなこと言ったって電車乗ってても別に時間ゆっくりなんてならないじゃん、というご意見もある。それはね、キミ、普段我々の移動できる速度が極端に遅いからなんだよ。飛行機はもちろんスペースシャトルに乗っていたとしてもだ。

じゃぁどれくらいの速度になれば時間がゆっくりすすむのを実感できるんだ。それはね、光の速度に近づけば近づくほど顕著になるんだよ。光の速度は秒速30万Km。1秒で地球を七周半する速さだ。


例えば光速の60%で等速度で移動している宇宙船がここにあるとしよう。その宇宙船を地上から観測している人とその宇宙船の乗組員とでは時間の進みは異なる。
地上で1秒経ったとき、宇宙船ではまだ0.8秒なのである。つまり宇宙船の乗組員の時間は地上の人よりもゆっくり進んでいる。

実はこのことは中学校で教わる三平方の定理で証明できるのだ。
三平方の定理とは直角三角形の斜辺の二乗は底辺の二乗足す高さの二乗である。
(斜辺2 = 底辺2 + 高さ2)




それを今から証明しよう。
さて、ここに光時計というものがある。透明な筒が立っている。筒の下部から光が照射され筒の中を光が通る。その筒の天井に到達するまでに1秒かかるという時計だ。
その光時計が宇宙船の中と地上に設置されている。



宇宙船が静止している時、光時計の刻む時は宇宙船も地上も同じだ。1秒は同じ1秒である。
そしてその宇宙船を例えば右方向に等速度で光速の60%で移動させる。このとき、宇宙船の中の光時計を観察してみよう。
筒の下部から発射された光は筒の中を通って上へ上がっていくが、宇宙船が右方向へ移動しているので光の先端の軌跡は、右斜めへ直進していると観測できる。

先ほどの三平方の定理を思い出して欲しい。
この右斜めへ直進している線を直角三角形の斜辺と考えれば、底辺は宇宙船の速度、高さは宇宙船の中の光時計の光の到達距離を指し示していることがわかる。

この斜辺の長さが地上の光時計の1秒の長さと同じ長さになった時、つまり光の速度Cで1秒なので「1C」の時、底辺は宇宙船の速度である光速60%なので「0.6C」である。
以上から上述の三平方の定理より高さを求めると「0.8C」となる。従って、宇宙船の光時計の筒の中の光が到達している地点は0.8の位置(0.8秒)にあるということだ。



ほら、地上では1秒経っているのに宇宙船の中は0.8秒しか経っていないよ。
(参考文献 アインシュタイン著「特殊相対性理論」 参照)



ちなみに人工衛星のGPSは正確な時間を刻む必要があるため、この現象で地上とズレる時間を補正しているのだ。これは有名な話し。

それでは熱中症にはくれぐれもお気を付けてください。




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