2013/10/31

(No.2081): 遠巒の廻廊(五)(稀人の居)



まぁ落ちついて
そこに掛けたまえ。
いまお茶を淹れるからお待ちなさい。

しかしなにさね、キミもアレだね、
おかしなものにかかわるお人だね。
まぁそうせっつくない。
ほらお茶を淹れたからお飲みな。

で、どれだっていうんだい、
そのブツてぇな。
なんだいさっきまでの勢いはどうしたね
そう遠慮しなくていいさね
出しなね
出しなよ。

ほうこれが、
これがあすこから出てきたてぇのかい。
こんなものが。

随分と薄いもんだね。
触るよ。
触っていいね。

固いね。
でもへこむね。

しかしね、この絵はなんだい。
なんだか気持ちが悪いね。この絵は。
字が書いてあるね。
読めないね。
あたしらには読めんしね。

え。開くのかい。
この薄いものが開くのかい。
やってごらんよ。

お。
なんと、まぁ。

なんだいこの中の丸いのは。
取れたね。
丸いの。円盤だね。
まん丸だ。
こんなまん丸なんて見たこたぁないよ
綺麗だね。
裏の模様が細かいね。綺麗だね。


こんなもんがあすこから
出てきたってぇのかい
でもねぇ、あすこからなら
なんでも出るんだろうねぇ。

あすこからは、ときたま
変な音がするよ
嫌な音さね。
耳が遠くなっちまう音さね。
地面も動く音さね。
耳の奥が鳴っちまう音さね。


で、キミ、
これは一体何さね。

それを聞きに来たってぇのかい
あたしに。
そりゃキミだめだよ。
あたしにゃぁなにもわかりゃしねぇよ。

あたしにわかるこたぁ
あたしらの界のものじゃぁねぇってこと
くらいさね。

しかしなにさね、キミもアレだね、
おかしなものにかかわるお人だね。
こんなものを。












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