2013/09/27

(No.2065): YMO/BGMの和式便所の白人(おっさん)


私が入った便所は建物内にある公衆便所風。
小便器がいくつかあり大便個室も二つ三つある
白いしっくい壁の便所。

一つの個室に入る。今から大便をする。
和式便器。白い便器。
便器まで一段、階段風になって
少し高くなっている。
昔はこんな便所ばっかりだったなぁ。
床は当然板。木製。
便器の「蓋」ははじめからなかった。


ここが、「YMO/BGM」の便所だ。
瞬時に「ラップ現象」にしようと思った。
おそらくここを使用する人々は
「バレエ」とか「音楽の計画」とか
あるいは「UT」とか「マス」「CUE」
「カモフラージュ」などを選択するに違いない。

そこで私は敢えて、いや、それどころか
YMO/BGMで一番好きな曲はどれかと聞かれたら
ためらいなくこう答えるだろう
「ラップ現象です」と。
そのくらいの規模だから、瞬時に
「ラップ現象」と思ったのだ。

ズボンを脱ぎ、パンツを降ろす。
しゃがみこみながら
this is only a rumour I heard so I don't know
how much truth it has but it seems...
と歌い始めた。

唐突にしかし必然として外に人の気配がする。

個室ドアの隙間が明らかに人の影で色が
変わっているのがわかる。
そう、ドアのまん前に誰かが立っている。

上から覗かれるのではないだろうか
という心配はにわかに現実となる。
ドアの上部から側頭部に毛髪がいくらか
残っている程度の禿げたおっさんがにゅうと
顔を出したのだ。
そのおっさんは白人の外人だった。
見たこともないおっさんだ。

その外人のおっさんは
両腕をドアの上部にあてがい
まるで鉄棒の逆上がりをする前に棒の上に
あがってくるような塩梅で、ぐわーと勢いよく
ドアの上部に上半身を露見させた。

おっさんは上半身裸だった。
胸毛が若干茶色か金色っぽい。
痩せているでもなく太っているでもなく
また筋肉質でもない。


私は「ノー!ノー!」と叫びながら
なんでノックしねぇんだこいつ、
と思った。

しかし
おそらくもう数秒で尋常ではない事態に
陥るだろうということが予想できたので
脱出する算段を始めた。

眼前のドアのカギをすぐに開けなければ
なるまい。ドアのカギはスライド式のものだ。
これをすぐに開けなければ、
はやく開けなければ、
と思った刹那

おっさんがそのままの体勢で
個室の中に足から飛び込んできた。
おっさんは私の真横に立った。

その白人の外人のおっさんは全裸だった。
私はカギを開けるのも忘れて絶叫した。


・・・


猛烈な尿意と自分の発した叫び声の残響で
目が覚めた。






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