2014/02/13

(No.2137): 寡黙なゲール(第ニ話)


「ゲール、ゲールはいずこぞ」

「はは、ここに控えおりまする」

「おおゲールよ、ときにおまいさんは
”幇間”というのを聞いたことがあるじゃろう」

「なにぶん無知蒙昧でございまして
読み方すら存じ上げません」

「なんじゃ”幇間”を知らぬと申すか」

「面目次第もございません」

「よいか”幇間”は”たいこ”と読むのじゃ」

「”たいこ”と読むのでございますか
一つ勉強になりましてござりますれば」

「”幇”は助ける、”間”は人と人の間、という意味での
繋げるとこれ即ち人間関係を助けるという意味となるのじゃ」

「それはまた、大層ご立派なお言葉でございましょうや
さりとてわたくしにはさつぱりとその要領を得ぬものですから」

「ええいじれってぇ、幇間ってぇな、太鼓持ちの
”たいこ”よ、脇じゃ師匠とか大夫なんてぇ
呼ばれることもあるがよ、こちとら反対(はんてぇ)に
持ち上げるてぇのが商売(しょうべい)だ
いよーッ旦那、こちらさんてぇもんは憎いよホントに、
様子はいいし、もう御婦人の方じゃぁ、あれですよ、
ほっておかないてぇやつだ、ねぇ、
もうお召し物なんてぇのも我々なんかとは違うし、
安くないでしょその上布は、ねぇ、帯だって
いい帯だ、ねぇ、パナマ帽なんぞを被って
お見かけするってぇと兜町の大将ですか、
よぉッ旦那、よぉッ   よぉ   よお  」

「・・・・・」





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