2014/02/18

(No.2139): 俎上の蛇腹


小学生時分筆者は蛇腹フェチだった。

子供の頃は家に自家用車がなかった所為か
鉄道が好きだった。
(今でも軽便鉄道は好き)
(あと路面電車の線路も好き)
鉄道好きと言っても鉄道模型から興味を
持った口で、その方面では高校時代に
ピークを向かえる。
(鉄道研究部副部長)

さて、鉄道における「蛇腹」とは。
それは客車と客車を連結している部分、
そこに蛇腹の幌がある。
今も基本的にはこの部位は蛇腹式幌であるが
所謂「蛇腹的山谷折り」がなくて
目立たなくなってスっとしている。
昭和30年代40年代ではこの部分は
あまりにも際立っていた。

車両が走行している時連結部に立ち、
塗装を何重にも塗りたくったであろう
手すりに掴まりながら、あの自由にぐにゃぐにゃと
動く蛇腹様式の幌を見上げては
圧倒的に魅力を感じていた。

あの恍惚感、何故かはわからぬ。




(イメージ図)






自宅前の道路の舗装が不完全だった
昭和40年代初頭、バスは黒い排気ガスを
撒き散らしながら左右に大きく揺れて
走っていた。

ボンネットバスではなくようやくリアに
エンジンを持つ四角いバスが登場し始めた頃。
バスに乗車した際は運転手さんの
一挙手一投足をかぶりついて見ていた。
油で黒く汚れた木製の床から
にょきっと突き出たクラッチペダルを
左足で踏み込み、時にはキュッキュッと
連続して二回踏み込み、
これまた床から生えているシフトギアの棒を
がくがくと操作する白い手袋の仕草が
なんとカッコいいのだろうかと心底思った。

そして、その油で黒く汚れた木製の床から
生えているシフトギアの棒は、黒いゴム製と
思われる蛇腹の「袋」から生えているのだった。
それがギアを変える度に形を変える。
そのぐにゃぐにゃと変形するゴム蛇腹を
見つめては圧倒的に魅力を感じていた。

あの恍惚感、何故かはわからぬ。




(イメージ図)









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