2016/02/15

(No.2433): 【問3】たかし君と花子さんの時間


【問3】
光時計という透明な円筒形の筒が垂直に立っています。その筒の底から光が投射され光が筒の天井に到達するのに1秒かかります。その光時計は、たかし君のいるこの地上に建っているものと、同じものが花子さんが乗っている宇宙船にも積み込まれています。

宇宙船が地球の上空で静止している時、地上にある光時計も宇宙船に積み込まれた光時計も、筒の底から投射された光が筒の天井に到達するのにかかる時間はどちらも1秒です。つまりたかし君も花子さんも同じ1秒を経験します。

それでは問題です。
花子さんの乗っている宇宙船がたかし君から見て右方向へ等速度で光の速度の60%で航行している時、地上にいるたかし君の1秒は花子さんにとってどれくらいの時間か答えなさい。ただし宇宙船の加速度は無視することとし、光の速度は常に一定とします。





【答え】
0.8秒


解説
宇宙船に積み込まれている光時計を観察してみましょう。宇宙船の中では、筒の底から投射された光は天井へ向かって垂直に伸びていきます。一方地上で観測しているたかし君から宇宙船の光時計の「光の軌跡」を観察すると左下から右斜め上へと進む直線として見ることができます。

この右斜め直線を直角三角形の「斜辺」と考えた時、「底辺」は宇宙船の速度となり、「高さ」は光時計の光の位置になります。従って、地上で観察しているたかし君は1秒経っているので、「斜辺」の長さは1秒(光の速度で1秒)1Cとなり、「底辺」は宇宙船の速度0.6Cとなります。そこで三平方の定理を使えば、直角三角形の「高さ」、すなわち花子さんの宇宙船の光時計の光の到達地点に当たる時間が求められます。

三平方の定理
   直角三角形の「斜辺」二乗=「底辺」二乗+「高さ」二乗


「高さ」は0.8Cとなります。


つまり、地上のたかし君は1秒であるのに対し宇宙船の花子さんは0.8秒しか経っていないということになります。
移動している物体の時間は静止している物体の時間よりもゆっくり進むのです。
これがアインシュタインの特殊相対性理論です。(の一部分)






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