2008/11/06

(No.613): 窯の次元遷移


こんな不思議なこともあるものだ。
今になって思うと、その時なぜ
もっと不思議がらなかったのか判然としない。

今から記す話しは信じようと信じまいと
筆者が体験した事実である。


夜のオートバイで通るいつもの道。
ある日の夜、いつものその道を走る。
ある交差点にて赤信号停車。
停車中、ふと、左斜め前方を見ると
左側の道の並びに、真っ赤な炎が見えた。
よく見ると、それは大きな炉であり、
焼き物を焼いているようだ。
窯の隙間から炎が蛇の舌のように
ちょろちょろと見え隠れするのがわかる。

こんな所に、窯があっただろうか。
と思ったが、あまり気にも留めずにいた。
周りの風景はやけに暗いわりに
その窯のまわりだけ明るく浮かび上がっている。
人がいる。
着ているものがえらく昔風の格好に見える。
焼き物を拵える人だからだろう。
その人はフイゴのようなものを手で何か
操作をしているように見える。

こんな住宅街に、こんな窯があったんだ。
面白いなぁと思っていた。

そんなことがあったことも、
しばらく忘れていたのだが、
本日、また同じ場所で赤信号停車。
なにげに左斜め前方を見る。

確か、あすこに焼き物の窯の建物があったはずだ
と探すのだが、普通の住宅しか見当たらない。

驚いたことに、その窯があったところは
普通の住宅になっているではないか。
しかも、窯が引っ越して新しく家が建った
なんていうものでは全然なく、
もう何十年もその住宅はそこにあったというほどに
古臭い住宅である。新築ではけっしてない。

驚愕した。
思わず「ええッ?なんでッ?」とヘルメットの中で
叫んでしまったくらいだ。
あの窯はどこへ行ってしまったのか。

世の中そういうこともあるだろう。







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