2008/11/27

(No.631): B級のA級


刻謎宮・刻謎宮II(全3巻)を再読中。
いつもの高橋克彦氏作品である。
ストーリーを知っているにもかかわらず
面白いものは面白い。
空想と史実がシームレスに溶け合うお得意の
物語の構造であるが、やはりその流れを書かせたら
高橋氏の右に出るものはいないのではないかと思う。

映画にしたら間違いなく超B級大作になること
間違いなし。
B級というのは悪い意味ではない。
かの「ターミネーター」だって初回は
超B級SFとして扱われていたのだ。

特に今回の「刻謎宮」は、とにかく、お話しが破天荒。
その破天荒ぶりが、実にB級なのである。
どんな破天荒ぶりかは、オフィシャルの解説を引用してみよう。

『幕末の横浜を訪れたシュリーマンが勝海舟に贈った金時計が、
12年後に彼が発掘したミケーネ遺跡の王墓から発見された。
歪められた歴史を修復する使命をもって
”管理センター”により新撰組の沖田総司が蘇生される。
時空を超え、古代ギリシャでアンネ・フランク、マタハリと
合流した総司は、歴史が狂い始めた金時計の謎を追って
各地を転戦し、ギリシャ神話の世界を創り出していく。
幻想歴史大河ロマン。』

これだけを読むと
沖田総司がなんでギリシャ?管理センターとかわけわからん
なんかチープだな、B級映画っぽい
と思ってしまうことだろう。

ところが、読めばなるほど、物語は矛盾なく
史実がうまくからめられている。
特に、冒頭の沖田総司の死についての史実に関して、
実はこういうことだった、という真実が
解き明かされていたり、或いは
後半のギリシャ神話が創られてゆく様などは
気が付けばいつもの高橋ワールドへ誘われているのである。

映画にならないものか。
でも映画になったらきっと恐ろしく駄作になりそうな予感がする。
是非とも見てみたい。







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