2014/03/03

(No.2145): KRAFTWERK考(あのときの四人編)


今回見られなかったらもう一生見られない
だろう見なかったらきっと後悔するに
違いない彼らももう歳だし今年来日したら
もう来ないだろうだからこの機会を逃しては
ならぬなんとしても嗚呼なんとしても拝見
拝聴仕る所存で嗚呼々々などと祈念していた
というのにここ数年のこの豊年の有り様と
いったら贅沢の極みと言わざるを得ぬほど
毎年来日しているので全部観てるではないか
2012年はNO NUKESで2013年は
単独ライブで2014年もサマソニの
オープニングアクトに出られるとの由
もうありがたみもへったくれも
ねぇってぇやつなんだけどぁこぉ
やっぱしパイオニアてぇやつのよぉ
操る生音てぇもんが聴けるんなら
NUMBERSでせぇ電卓でせぇコンピュータラヴ
でせぇテクノ神てぇやつのKRAFTWERK
御大のお噂でご機嫌を伺いやす。





KRAFTWERK、いまやラルフヒュッター
さんしかオリジナルメンバーがいない。
ラルフさんが辞めてしまったら、もはや
KRAFTWERKは存在し得ないだろう。

考えてみれば
1987年にウルフガングフルーアさんが
脱退した時点で真のKRAFTWERKは
なくなっていたのかもしれない。
しかもその数年後1991年には
カールバルトスさんが抜けた。その時は
嗚呼もうKRAFTWERKはなくなるんだと思った。

しかし、そうはならなかった。
ちょうどその頃「The MIX」というアルバムが
発表された。当時はKRAFTWERKの久々の新譜
ということで興奮したことを覚えている。
「The MIX」は新曲ではなく既存楽曲を
ハウス系にアレンジするという試みだった
ので酷評も多かった。
しかし筆者はかなりツボにはまった。
特に合成音声による歌唱に身震いした。

KRAFTWERKはボコーダーでも有名だが
ボコーダー自体は人間の演奏によるもので
あり「The MIX」の合成音声歌唱は
全てプログラミングによるものであった。

(しかしKRAFTWERKの操るボコーダーは
現存するボコーダーの中で一番好き。
作品としては特に「エネルギーの声」※1)

「The MIX」の合成音声歌唱の音質は
現在の初音ミク等に代表されるボーカル
エンジンのように人間と見紛うほどの
優秀なものではない。
エッジの効いた矩形波とホワイトノイズ
だけの要素をフィルタ加工して造り出された
フォルマントを有し、人間の複雑な発声を
極めてプリミティブな形で再現させた
不完全で妖艶なテクノロジの雑駁さを持つ。

それは正しく筆者の標榜する姿だ。


The Robots (The MIX)




ラルフさんと共に創設時からのメンバーだった
フローリアンシュナイダーさんが2009年に
脱退された時はもはやこれまでかと思った。
しかしそうはならなかった。
ラルフさんはウルフガングフルーアさんや
カールバルトスさんが抜けた時と同様に
身内からメンバーを加えての盤石なる
四人体制とされた。

今やオリジナルメンバーはラルフさんしか
残っていないがライブで繰り出される音楽は
往年の楽曲がほとんど。
つまり1981年のコンピュータワールドを
ピークとした有名楽曲群がセットリストで
あり、それらの時代は上述の四人体制で
あったわけで伝説の1981年中野サンプラザ
来日ライブの通り、あの四人でなければ
KRAFTWERKじゃないんだ。

ラルフヒュッター
フローリアンシュナイダー
カールバルトス
ウルフガングフルーア


Pocket Calculator Live 1981



筆者は1981年、大学1年だった。
しかしKRAFTWERK初来日ライブには
行けなかった。
返す返すも残念である。





(※1)
1975年 アルバム「放射能」に収録された
ボコーダーで喋ってるだけの作品


the voice of Energy (Radioactivity)






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