2010/02/19

(No.1038): 同期と脱力と


筆者の好きなドラマーは誰かと問われれば
ドド・ニキシ氏をあげずばなるまい。
ご存知の方も多いと思うが
mouse on mars のドラマーである。

氏は自らのバンドもあるようだが
mouse on mars のライブではドラムで
サポートしている。
ただしここ数年のmouse on mars ライブでは
ドラムなしが多い。

ドド・ニキシ氏のドラミングが
なぜ好きなのか理由をあげるとすると
以下の二つであろう。

ひとつは、ヤン・ヴェルナの繰り出す
曖昧模糊としたしかし非常に粘着力のある
歪んだ電子音塊に対し、
驚くほど強靭な同期演奏を実現していることである。

今までに3回ほどライブを見ているが
2005年に見たライブでは最前列がぶりつきで
見ることができたので、一体どのような
技法で歪んだ電子音塊との共演をなされているのだろうか
と、目を皿のようにして注視していたのだが、
結局わからずじまいだった。

つまり、ヘッドフォンもイヤフォンも
あるいはコロガシ(ステージモニタ)を両サイドに積むような
こともせずに、普通のドラム用コロガシのみで
きっちりとタイミングが合っているのだ。

神業の他に言葉が見つからない。


好きな理由のもうひとつ。
ドラムの本質的要素である「脱力」が際立っていることだ。

ドド・ニキシ氏のドラムセッティングは
ほとんど全てのパーツの打面をほぼ水平にしているようだ。
そのセッティングも相まって
まるで転がしているような、重力のみで演奏しているような
そんな華麗なスティックワークを見ることができる。
アンディ・トマのベースとのコンビネーションも
言うまでもなく、シーケンサとの同期演奏をしていながら
全く新しい独特のグルーヴを生み出す演奏なのだ。


正しくお手本である。

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