2012/12/18

(No.1871): 黒い幾何学模様(夢記)


長い長方形のテーブル。
テーブルの上には飲み物や食べ物が
散乱している。そこに大勢の人が立って
がやがやと食事をしている。
部屋の中ではなく、店先然とした場所。

「わたし」はその中で食べ物を物色している。
何とはなしに、テーブルを挟んだ正面の人に
目を向けると、先ほどまで何でもなかった
その人の頭が数倍にも膨らんでいる。
驚いて凝視していると、ふくらみが歪に変形
してきた。極端に前頭部が尖ったりする。
まるで鬼の角だ。そして皮膚の中に何か
生物でもいるかのように蠢いてきた。
気付くと、その人の髪の毛もなくなり
その皮膚には見たこともない黒い幾何学
模様がじくじくと現れて来た。
頭だけではなく、体全体が盛り上がって
もはや原型をとどめてはいない。

とっさに、「わたし」は思い出した。
これは、以前にも見た厄介なものだ。
刹那、「わたし」は大声を発し、
周りの人々に訴えた。

「あぶないッ 逃げてッ」

その厄介なものは耳を塞ぎたくなるような
奇声を発しながら「わたし」に顔を向けた。




三帖ほどの畳の和室。
その部屋の周りに格子枠のすりガラスの引き窓が
部屋の角を中心に左右に伸びている。
窓の高さは畳に座った時に窓のひさしで腕枕が
できる程度の高さにある。
三帖和室の隣はそのまま板の間。
窓はなく黒い板が貼られている。
昼間、薄曇りではあるがその板の間の奥は闇。

三帖和室の中には「わたし」を含めて三人。
「わたし」以外は男女。
その男女は部屋角にある白黒テレビを頂点として
ハの字でうつ伏せに横たわっている。
「わたし」はハの字のその真ん中に座っている。
「わたし」の左手に女、右手に男が寝ている。
女は赤い洋服を着ている。スカート。
男は黒っぽい服を着ている。


白黒テレビは「わたし」が幼少時代にあった
昭和30年代の四本足のテレビであり

魚眼レンズのようなレンズ板がブラウン管の
前に取り付けられている。

そのテレビは青っぽい光を放ちながら
先ほどの厄介なものを映している。

ああ思い出した。テレビで見たんだった。
それなら倒し方もわかる。
「わたし」はうつ伏せに寝ている
赤い服の女の肩をゆすって言った。

「さぁやっつけて」


女は面倒くさそうに立ち上がろうというそぶりを
した時、奥の板の間から厄介なものが体を
小刻みに痙攣させながら現れた。
最初からそこにいたのかもしれない。
と思いながら、うつ伏せに寝ている男に言った。

「さぁやっつけて」
「はやくッ」






「わたし」は厄介なものと対峙している。
この場は敢えて拳法を使おう。
覚えた覚えは全くないが、体が勝手に「型」を切る。
厄介なものの口からシューシューという音が聞こえる。

確か前はこのあとでCMに入ったんだよな
そんなことを漠然と反芻していた。



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