2009/01/21

(No.678): パッケージ是非


日本レコード協会が発表した2008年の音楽ソフト生産額は
前年比8%減の3617億円で10年連続で前年を下回っているとのこと。
10年前の半分だという。
ちなみにこの数字は「生産額」なので、売上の実績ではないところがミソ。
つまり、生産額=価格×生産量であり、実際に売れた金額ではない。

一方、有料音楽配信の2008年1~9月の売上実績は
前年同期比22%増の671億円というから驚きである。
こちらは、ちゃんと売上実績である。

この671億円は、2008年CD洋楽の生産額641億円、
同期音楽DVDの生産額656億円よりも多いのだ。
もちろん、CDやDVDのこの数字は生産額であり、
実際の売上はこれよりも遥かに少ないだろう。

つまり、明らかに商品としての音楽はパッケージという
物理的媒体から、電網を利用した例えばiTunesなどで販売される
MP3などの音楽ファイルという実体のない(実際はあるが)媒体へ
消費者の嗜好が向いてきたということなのだろうか。

また、広義で「商い」という観点から鑑みると
物理的パッケージのCDやDVDでは、モノの流れが発生し
それにかかるコストも膨大である。
つまり、メーカー → 卸 → 店舗 → ユーザという流通を
みたとき、発注、仕入、在庫、出荷、配送などの物流コストが発生する。

しかし、これが電網上での販売ということになれば
少なくとも、上記要素は発生し得ない。
つまり、在庫を置かずともいい、出荷だの配送なんてのもない。
サイトがあれば店舗自体も必要ない。

これはユーザにとってもお手軽である。
昔のように、ステレオの前で厳かに聴くという風習は過去のものとなり
音楽を聴くために聴くのではなく、何かのついでに聴くという
極めてカジュアルなスタイルとなり、延いては
それはPCでダウンロードしてMP3プレイヤーで聴くという
塩梅式となった。


音楽ソフトとは、レコードジャケットも含めたトータルな
芸術作品として存在しているという考え方はもはや過去のものなのだろうか。
アーティスト側にも賛否両論あり、リスナー側、制作側にもそれぞれの
想いがあるだろう。

しかし、現状は、上述の数字で明らかなように
実体のない電子ファイルが、「音楽ソフト」となりつつあるのは
間違いようのない事実である。


きっと、近い将来は、クルマのマニュアル車のような存在に
なっていくことだろう、音楽CDパッケージは。








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