2008/12/22

(No.654): アルバイトの記憶 その2


(番号連呼の仕来り)
1983年当時、西武球場の整理員バイトを仕切っていたのは
関連会社のTさんだった。当時38歳くらい。
この関連会社というのが、ビル警備の仕事を生業としている
会社らしく、Tさんは屈強な体育会系の方であった。
しかし、外見とは裏腹に、非常に面倒見のよい方で
バイト達からは良きお兄さんと慕われていた。

現場でバイトを仕切っていたのはTさんであったが
このTさんの上司にAさんという当時50歳前後の方がいた。
このAさんは、17時の全体ミーティングの時にだけ出てきて
いろいろ注意事項や、訓示だのを垂れるのである。
このAさんは皆にあまり好かれていなかった。

なぜなら、この方は陸上自衛隊の元自衛官だったということで
17時ミーティングの方式が軍隊形式で行われるからであった。
今思うと、よくもまぁこんなことをやっていたと呆れてしまう。

17時ミーティングの開始。
各チームごとにリーダーを先頭に縦に並ぶ。
「気を付け」と「休め」の体形も決まっており
確実にやらないとAさんから罵声が飛ぶ。

号令と共に、端から順番に番号を発する。
声が小さかったり、タイミングが悪いと、またAさんから罵声が飛ぶ。

特に、「4」と「7」についてはそれぞれ「シ」「シチ」と
発声しなければならない。
「ヨン」とか「ナナ」と言ってしまうと、最初からやり直しである。

一人の失敗が全員に影響を及ぼす、
チームワークの重要性ということを教育しているつもりだと思う。

特に、40名も50名もいた日で、
最後に「47」シジュウシチというところを
「ヨンジュウナナ」なんて言った日にゃ、
殴りこそしないが、殺されるのではと思うほど叱られる。
そして1番からやり直しである。
そんな塩梅なので、このミーティング時に
怒って帰ってしまったバイト君を数名見たことがある。

このミーティングは球場前の駐車場エリアで行われる。
通行人や、開場前に来ているお客さんが、
この番号連呼の様子をよく見ていた。
何あの人たち?なんて蔑視されていたことだろう。

しかし、40名ほどが一回で綺麗に番号呼称を終えた時は
実際、なぜか達成感と格好良さとが去来したものだ。
ちょっと意味は異なるが全体主義って、
こんな錯覚から起きるのだろうかと想った記憶がある。


さて、開門30分~1時間ほど前になると、場内に入り、
それぞれ持ち場に着く。
自分のチームに新人がいる場合は、この時間を使って
ダンドリやら仕事のやり方を教える。
また、食事休憩ローテーションなども各メンバーへ伝えておく。

リーダーが持っている無線機へ本部から開門時間の連絡が入る。
特殊事項については、先のミーティングで伝えられるが
無線で来ることもある。
例えば、今日のボックスシートに芸能人誰それが来るので
お客が集まらないようになどの指示が来る。

開門する時は、入場ゲートのチームから
「かいもーんッ」と無線で一斉同報される。

開門したってー
とメンバーに伝えると、皆、緊張した面持ちになる。









0 件のコメント:

コメントを投稿