2009/11/21

(No.950): 独断のシークエンス


なんという奇怪な話だろう。
なんという無意味な複雑さだろう。
あまりにも難解、混沌としているので
ぶっちゃけストレートにそのシーケンスをなぞる。


先ずは、唐突に「天地開闢」というものから
全ては始まる。
性別の存在しない、抽象的な三柱の神
(造化の三神)というものが誕生する。

暫くして同じく性別のない二柱の神が生まれる。
その後、今度は男女の性別を有した
五組の神々が生まれる。
上述の二柱+五組の神々を総称して
神世七代と呼ぶ。

この五組の最後に位置する神に
あの「イザナギ」と「イザナミ」が存している。
この二人が海をぐるぐるぐるーんと
かきまわして日本を作る。

ところが「イザナミ」は火の神を生んだ時の火傷が
元で死んでしまう。
「イザナギ」は「イザナミ」を慕って黄泉の国へ行くが
腐敗し鬼化した「イザナミ」に恐れをなし
現世との出入口を岩で塞いでしまう。
黄泉の国の汚れを清めるために、様々な神々を生む。
最後に、「アマテラス」「ツクヨミ」「スサノウ」の
三貴子を生む。

生むって、イザナギは男なのにと思うかもしれないが
そこは、なんでもありのワンダーワールドなんである。
左目からアマテラス、右目からツクヨミ
そして鼻からスサノウが生まれた。
というのだ。

そして「イザナギ」は
「アマテラス」を太陽神として高天原へ
「ツクヨミ」を月或いは暦の神として夜を
「スサノウ」は海を治めるように言うが
「スサノウ」はそれに従わず、その結果追放される。

追放された、「スサノウ」は一時、
高天原へ移るものの、粗暴の理由で
地上へ落とされる。
落ちてきた場所は、日本の出雲地方であり、
そこでヤマタノオロチを退治したことで
出雲を治めることになる。
その後、オオクニヌシノミコトが生まれる。
オオクニヌシノミコトはスサノウの息子、
或いは6世代後の子孫など諸説ある。

オオクニヌシノミコトは
出雲大社に代表される最古の社で
現在でも祀られている。
東京府中にある大國魂神社も同様。



さて、高天原のアマテラス系であるが
「葦原中国を統治するべきなのは
アマテラスの子孫であーる」
という凄まじく自己中発言で
子孫を野に下らせるのである。

ちなみに葦原中国というのは
「あしはらのなかつくに」と呼称した
日本そのもののこと。
この時は既にスサノウ系は日本を統治していた。


以後
アマテラス系を天つ神、
スサノウ系を国つ神と呼称する。

既に国つ神が統治しているにもかかわらず
のこのことやってきた天つ神であるが
普通に考えると、何も起こらないはずはない。

それがどういうわけか、歴史的観測では
「国譲り」という素敵ワードで丸く収めている。
国つ神系が天つ神系に国を譲ったというのだ。

その時の物言いが凄い。
「もう、わしらぜーんぶ、天つ神さんたちに
従いますわ、マジで、そのかわり、
住むところと、大きな家を建ててちょんまげ」
と言ったそうだ。

どう考えても不自然だ。

まぁどうあれ、国つ神系は敗れ、
天つ神系が天孫降臨し、日本を占領統治したのである。
ちなみに、ご存知のように皇室は
天つ神系の子孫である。


この21世紀の世にあっても
神社の系列には国つ神系と天つ神系があり
なんとなく対立しているのだという。
神話の世界だけならいざ知らず
現実の世界でもそのポリシーが脈々と
受け継がれているということが
まるで小説のようで大変興味深い。









0 件のコメント:

コメントを投稿