2011/05/27

(No.1402): 番外史車


ところで、
筆者の四輪クロニクルといえば
このページに全てが書き記されている。

だから、あーだこーだと殊更に
改めて記すこともないだろうが
実はこのクロニクルに載っていない
四輪があるのだ。
なぜ載っていないのかというと
それは所有していたわけではなかったからだ。
あるクルマの代車として、僅か
2週間程度乗っていたというクルマなのである。

そのあるクルマとは
「フォルクスワーゲン・タイプ3」である
フォルクスワーゲン・タイプ3の記事を
読めば分かるとおり、ひどくエライ目にあった
クルマである。故障が多かった。

その修理中に、代車で乗ってていいよ
とWAVE(*)の社長に言われたのが
トライアンフTR7だった。

色は確か小豆色、そして
京都ナンバーだったのを覚えている。

このクルマがまたたいそう面白かった。
座位置がものすごく低いので
道路すれすれの感じだった。
クラッチは激重で、もちろんハンドルも重く、
そしてブレーキは効かない。

そんなTR7もご多分に漏れず
やらかしたのである。

府中辺りを走行中。
急にエンジンの調子が悪くなった。
ガクガクウンウンしている。
水温計を見ると、
思いっきりレッドゾーンに
ビンビンに振り切れているではないか。

ラジエーターから水漏れ。
慌てて路肩に停めボンネットを開ける。
もう水蒸気とか。
マンガのようだった。
目の前にクリーニング屋さんがあったので
すいやせん、やかんに水を分けて
もらえないでしょうか
と懇願し、水をもらう。

ラジエーターキャップがもう熱くて触れない。
冷めるまで待つ。
もうもうと立ち籠める蒸気の中
水道水をバシャバシャと注ぎ入れ
なんとか走れるようになった。

近くに高校がある場所だったので
帰宅中の女子高校生たちが
ペッタンコのスポーツカーに
やかんで水を入れている冴えない小男を見て、
なにあれ的な痛い視線と嘲笑を
送ってくるのだった。

代車でさえ、故障するという店WAVE。
いい店だった。


(*)WAVE
1980年代中後半に多摩地区某所にあった
ヨーロッパ旧車の自動車修理販売店。
40歳代の社長と若いメカニックお兄さんで
切り盛りしていた。
社長、お元気なら今はもう70歳代かー

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