2011/08/09

(No.1466): 節操夢記


昭和四十年代。
筆者自宅周辺には、雑木林が沢山あった。
その雑木林の中で貝殻(ほら貝のような)
に身を包んだ節足動物のような生物がいる。
よく見ると、湿地にその生物は蠢き
数匹確認できた。
色は、貝殻が白っぽいくすんだ色。
中の本体は薄い緑色のような感じだ。
何本もの足がわさわさと動いている。
古生代の生物か。
見ているとその内の一匹が
突然土手の土の中を掘り進んで
地中に潜ってしまった。



斜め前にある町医者A医院。
筆者が物心ついた時から大変
お世話になっており、
先代のお爺さん先生の頃から。
今はその娘さん、といっても既に
70歳くらいのお婆さん先生。
そしてそのさらに娘さんは近所で
眼科をしている。
そのA医院が全焼してしまった。
消防車や救急車がたくさん来ているのに
なぜ全く気付かなかったのだろうか。
先生はご無事だろうか。
その焼け跡の中にいるが、
燃えた臭いもしなければ
窓ガラスも待合ソファーもそのままだ。
燃えた痕跡が全然ない。

後部に貨物車を連結している巨大な
トラックが交差点を右折してきた。
その後部の貨物車の部分が曲がりきれずに
A医院の中に突っ込んできた。
バリバリとものすごい音で崩れてくる。
焼け跡だったものが今ではキチンと
家のかたちをしている。
その家がバリバリと音を立てて崩れてくる。
トラックの無機質なボデーの様子と
バリバリとへし折れる木の柱のコントラスト。
しかし、よく見るとこれは
A医院ではなくY屋という駄菓子屋だった。
しかしY屋はここではなく
東京都K区Jにある。


東京都K区Jにある背の低い鉄製のフェンス。
錆で元が何色だったのかわからない。
自分の身長とほぼ同じ。
そのフェンスの縁に掴まって
ギュっと力任せに立ち上がると
手には錆の匂いが仄かに残る。
そのままの体勢で顔をあげると
前の家の中が丸見えだ。
畳の部屋。
丸いちゃぶ台の上にはハエ避けの食卓網。
奥には縁側も見える。
仏壇のお線香の香りがする。




目が覚める。
AM7:03








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