2012/10/24

(No.1830): 激しく戸をたたく者あり


激しく戸をたたく者あり。
なんだどうしたと戸を開けると、
そこには退職したS君が立っている。
S君の後ろに二人の男性が見えるが
誰なのか判然としない。


S君は言う。
「たいへんです! I君がたいへんです!」
彼はそう叫ぶと、私に300円よこした。

私の手の中には鈍い銀色の100円硬貨が
3枚収まっている。
この300円の意味はなんだろう、
I君は大丈夫だろうか、
疑問や心配が積みあがってくるが
もうそこにはS君も後ろにいた二人の男性も
姿が消えている。

I君は太っているから、きっと何か
悪い病気になったのだろうか、しかし
急にそんな容体が悪化するものだろうか。

布団の中で寝返りを打つ。

I君は太っているからなぁ。
しかし、キミ、昨日まではあんなに
ピンピンしていたじゃないか。
それがどうしたっていうんだい。
いや、まて。
何もどうしたわけではないのかもしれない。
だって、S君はたいへんですと言っただけだ。

たいへんというのはいくらでもある。
ウンコが50日出ないとか
1億円の宝くじが当たったとか
カレー10人前完食しましたとか
お父さんが女だったとか
そうさ、そんなもんさ。

布団の中で寝返りを打つ。

あーでも結局300円の意味は
わからんかったなぁ。


起床。



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