2011/10/06

(No.1516): 偉容偉功


Steve Jobs氏が亡くなった。
奇しくもお亡くなりになった10月6日は
(現地時間は5日)
iPhone4Sの発表の翌日だった。
「5」ではなく「4S」だったのは
For Steveという意味だったのか。

本日、ネット上を流れた数々のメッセージは
ジョブス氏を惜しむ声で埋め尽くされていた。
好き嫌いは別にして、いろいろな意味で
偉業を成し遂げた人であろう。
惜しまれて当然である。

ガレージから世界一の企業に成ったという
経営戦略手腕よりも、筆者は氏の技術者と
芸術家との両方の能力が開花した
初代Macintoshの世界観に強烈な印象を
持っている。

それは、たかが工業製品でありながら
熱狂的なファンを世界中で数多く獲得し、
そして彼らがMacエヴァンジェリストとして
布教していた、という事実からわかるように
その世界観は他者(社)と一線を画していた。

吐露すると、筆者は嘗て稀代の
Macエヴァンジェリストだった。
かれこれもう20年も前の話になる。
この話はこの拙屑コラムでも幾度となく
扱ったお題なので、目にしたことも
あると思うが、追悼の意を込めて改めて記す。


筆者のファーストアップルは
1990年のMacintosh Classicである。



Cubaseを走らせるためのコピュータとして
導入したが、それ以降Macintoshという
魔法の虜になり、続け様にMacintosh LC、
Macintosh IISi、PowerBook270c、と導入した。

しかし仕事の関係から、それ以降は
Windowsの人となる。

2003年頃にiPodminiを求め、
久しぶりにApple製品を手にする。
選曲時のクルクルと指で回す動作に
Appleらしい新鮮味を覚える。

2010年、携帯電話をiPhone4に替える。
賛否両論ある操作性でも
ここかしこにAppleらしさが出ている。

例えば、操作ロックを解除する
ロック解除のソフトウエア・レバー。
左から右方向へ指でなぞれば
レバーが右側へ動きロックは解除する。
しかし、勢いつけて右へビュッと
指を動かすと、一旦右側へ行ったレバーが
反動で跳ね返って来てロック解除されずに
戻って来るのだ。

システム要件から考えれば
「レバーを右へ動かしてロック解除」
としただけで機能は満足させられる筈なのに
加えて
「ユーザーが力よく動かした場合は
反動でレバーを元に戻す」
「しかも重力を考えてちゃーんと
バウンドさせてね」

などというロック解除の機能には
関係のない要素を組み込んでいる。
これがAppleという会社の品質なのだ。


そして今年、約15年ぶりに
Appleコンピュータを買った。MacBookだ。
ハードウエアの完成度に驚く。
MacOSXも初めて触った。
長年のOS戦争でWindowsもMacOSも
それなりに成熟しており
どちらが使いやすいとかということは
あまりなくなったように思う。

しかし、やはりMacOSはWindowsにはない
世界観を持っている。
好例はフォントだ。
例えばブラウザでサイトのページを見る。
見慣れたWindowsでは別に何も感じないが
同じページをMacで見ると違和感に気付く。
MacOSではフォントが美しいのだ。

Macで見たあと、Windowsで見ると
まるでコンピュータ黎明期のような
ゴツゴツビット荒削りフォントだったことに
気付く筈だ。

イラレやフォトショ系アプリでなければ
別にゴツゴツフォントでも問題はないのだが
こういうところを拘っている姿勢が
すなわちジョブスAppleなのだと思う。

ジョブス氏亡き後もAppleにはこの世界観を
是非とも踏襲していって頂きたいと願う。
スティーブン・ポール・ジョブズ氏の
ご冥福をお祈りいたします。









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