2012/01/10

(No.1601): 冬バイクの掟


地球から8千光年にあるイータカリーナ星雲の
惑星と恒星の重力場による影響によって
よく、こういうことを聞かれることが多い。
エフオピさん、バイク寒くないんですか、と。

いや、そんなに寒くないです。
というかむしろバイクに乗らない時の格好の
方がすこぶる寒いです、と答える。
筆者の想定外の応答に質問者は一様に不審な
眼差しになる。

決して強がりを言っているわけではなく
最近のバイク用品の防寒属性の高いこと
といったら、おそらく一般の人には
わかり難いだろう。

頭はそもそもフルフェイスのヘルメットなので
これだけでも防寒になるうえに、顔には
フェイスマスクを着用する。
上半身はウインドストッパーなるジャンパーの
上に冬用ライジャケを着る。
下半身はオーバーパンツ。
同ブーツ。
グローブは冬用の厚手革のもの。

そして、股ぐらには六級改号別名ducati m696
灼熱の空冷L型twin。
デスモドロミックエンジンがストーブ代わりよ。
足元にあるエキゾーストパイプなんざ
触った瞬間に憤死する。

武装して
昼間はもとより、真冬の夜に駆る。


ただしフェイスマスクでは1点注意が必要だ。
眼鏡使用者が身に付けると眼鏡が真っ白に曇る。
特にフルフェイスの場合、シールドを
閉めていると、0.3秒で視界が白一色に変わる。

このままの状況で勘だけを頼りに疾走すれば
間違いなく元の体には戻れなくなるので
解決策として、シールドを完全には密閉せず、
少しだけ開いた状態で走行するのだ。
冷風すきま風が容赦なく、駆り手の鼻や頬を
射抜く代わりに眼鏡の視界は常にクリアだ。

鼻水の一すじや二すじにがたがた文句を言うな。
鼻水上等。


勘違いされると困るのだが、
防寒武装だからといって春のように、
もうポッカポカだやーということではない。

それなりの速度で走っている場合、
その体感温度はすこぶる低い。
だから、特に一番走行風にさらされている
指先には、過酷な試練が与えられる。

走行後数キロで寒さにより痛み始める。
10キロも走った頃になると痛みを通り越して
感覚がなくなりはじめる。
20キロを過ぎると感覚が完全に失われる。

それでもクラッチとブレーキを確実に操作するのだ。
指先痺れ上等。
同つま先痛も上等。


ねーねーそれって、
結局寒いってことなんじゃないのー。
アーアーアーアーアーアーアーアー
(耳をぱたぱたやって聞こえていないフリをしながら)


寒くたって駆るんだよ。








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