2012/01/22

(No.1612): ケミカル完全同期の担保


サンレコ2月号のケミカルブラザーズの記事を読む。

驚愕した。

この記事はケミカルブラザーズのライブシーケンス
システムを担当しているマットコックスという人の
インタビュー記事である。

先頃、ケミカルブラザーズ初のライブ映像作品
「DON'T THINK」が上映されたが、この作品は
去年2011年のFUJI ROCK最終日でのライブを
20台のカメラを使って撮影したものだという。
もちろん筆者もこのライブを文字通り生で体験した
一人だが、
このライブに限らずケミカルブラザーズのライブは
その音楽はもとより、音と完全にシンクロした映像
や照明が圧倒的な破壊力でオーディエンスを
惹きつけてしまう。

この凄まじいライブがどのように構築されていたのか
その一端を垣間みた気がした。
そんな記事だ。


システムの大枠の構成は以下の通り。
2台のMacBookで、1台にはLogic、もう1台には
Ableton Liveを入れてある。
そして沢山のビンテージアナログ機材やシンセ
及びVJ映像、照明などを全てMIDIクロックで完全同期
させているとのこと。

ライブがスタートしたら終了する1時間半の間、
全てのシステムが正確に完全に同期し続けることが
必須なのだという。まったく恐ろしい事だ。
途中で止まってしまったら悪夢だ。
スタートボタンを押したら、
終わるまでストップできないらしい。


だから、その性能要求グレードはかなり
ハイスペックである。
記事によると、トラブルで止まった場合を想定して
メインのLogicの入ったMacBookと全く同じ
MacBookをもう1台用意し、それも同期させながら
ライブを行うのだという。
万が一メインのMacBookがトラブった場合、瞬時に
もう一台のMacBookへ切り替える仕組みになってる
のだそうだ。まるで、24h365dのサーバーシステム
における性能要求グレードに匹敵する内容だ。
所謂ホットスタンバイとかクラスタ構成のような。


今までケミカルブラザーズのライブは何度となく
観てきたが、既に録音されたクリップのようなものを
ただ再生しつつミキサーでミックスしているものだ
と思っていたが、それは大きな間違いだった。
録音された音もあるだろうが、ほとんどはその場で
音加工されエフェクトされ、且つ実際のハードウエア
楽器からの音をリアルでその場で発音させており
それら全てが、一期一会的にミックスされているのだ
ということを知った。
そのための、全楽器全システムがMIDIクロックにて
完全同期している理由であり、それを維持管理するため
の裏側の事情がこれほど大変なものだったとは。









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